結晶構造から見えてきたチャネルロドプシンの分子メカニズム

「1. はじめに」ヒトから微生物まであらゆる生物は光を受容し, その光情報に応じた行動をとる. 多くの場合この光情報の受容は, 発色団としてレチナールと呼ばれる低分子を結合した, ロドプシンファミリータンパク質によって担われている. たとえば, ヒトの眼に存在する動物型ロドプシン(視物質ロドプシンなど)は, 光を吸収すると3量体Gタンパク質を活性化することでヒトの視覚形成に重要な役割を果たす. また, 一部の微生物が持っている微生物型ロドプシン(バクテリオロドプシン(BR)など)は, 光を吸収すると細胞外にH+を汲み出しH+濃度勾配を形成することで, 特に嫌気性条件下でのエネルギー獲得に重要な...

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Published in生物物理 Vol. 53; no. 5; pp. 246 - 249
Main Authors 加藤, 英明, 濡木, 理
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本生物物理学会 2013
日本生物物理学会
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Summary:「1. はじめに」ヒトから微生物まであらゆる生物は光を受容し, その光情報に応じた行動をとる. 多くの場合この光情報の受容は, 発色団としてレチナールと呼ばれる低分子を結合した, ロドプシンファミリータンパク質によって担われている. たとえば, ヒトの眼に存在する動物型ロドプシン(視物質ロドプシンなど)は, 光を吸収すると3量体Gタンパク質を活性化することでヒトの視覚形成に重要な役割を果たす. また, 一部の微生物が持っている微生物型ロドプシン(バクテリオロドプシン(BR)など)は, 光を吸収すると細胞外にH+を汲み出しH+濃度勾配を形成することで, 特に嫌気性条件下でのエネルギー獲得に重要な働きを示す. このように, 一口にロドプシンタンパク質と言ってもその機能は多岐に渡ることが知られていたが, イオンチャネルとして働くロドプシンタンパク質は長らく発見されておらず, その存在も疑問視されていた.
ISSN:0582-4052
1347-4219
DOI:10.2142/biophys.53.246