胆管非拡張型膵・胆管合流異常に合併した急性膵炎を伴う胆嚢穿孔の1例

症例は78歳男性.右季肋部痛を主訴に来院し,腹膜刺激症状と血中アミラーゼ濃度の上昇を認めた.腹部造影CTで膵頭部周囲の脂肪織濃度の上昇と胆嚢壁の浮腫状肥厚,肝表面に限局する腹水貯留を認めた.胆石性急性膵炎と胆嚢穿孔による急性汎発性腹膜炎の合併と診断し,緊急で開腹手術を施行した.術中,胆嚢底部に穿孔部を確認出来た.胆嚢摘出術後の術中胆道造影で新古味分類IIb型の膵・胆管合流異常と診断した.また,共通管に蛋白栓と思われる透亮像を認め,胆道ゾンデで排出後にC-tubeドレナージ術を併施した.病理組織学的検査でRokitanski-Aschoff sinus(RAS)の多発及び穿孔を認めたが,悪性所見...

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Published in胆道 Vol. 31; no. 5; pp. 874 - 879
Main Authors 中山, 岳龍, 森, 隆太郎, 大田, 洋平, 熊本, 宜文, 武田, 和永, 松山, 隆生, 遠藤, 格
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本胆道学会 2017
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Summary:症例は78歳男性.右季肋部痛を主訴に来院し,腹膜刺激症状と血中アミラーゼ濃度の上昇を認めた.腹部造影CTで膵頭部周囲の脂肪織濃度の上昇と胆嚢壁の浮腫状肥厚,肝表面に限局する腹水貯留を認めた.胆石性急性膵炎と胆嚢穿孔による急性汎発性腹膜炎の合併と診断し,緊急で開腹手術を施行した.術中,胆嚢底部に穿孔部を確認出来た.胆嚢摘出術後の術中胆道造影で新古味分類IIb型の膵・胆管合流異常と診断した.また,共通管に蛋白栓と思われる透亮像を認め,胆道ゾンデで排出後にC-tubeドレナージ術を併施した.病理組織学的検査でRokitanski-Aschoff sinus(RAS)の多発及び穿孔を認めたが,悪性所見は認めなかった.蛋白栓と思われる物質が共通管に嵌頓したことで,急性膵炎を引き起こし,さらに膵管内と胆道内の相互内圧の上昇を引き起こした.胆道内圧の上昇が胆嚢底部のRASの穿孔を生じ,胆嚢穿孔に至った.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando.31.874