無治療経過観察中の好酸球性胆道炎の1例

症例は52歳,男性.既往歴,アレルギー歴に特記事項.前医にて急性胆嚢炎に対し胆嚢摘出術を施行され,術後経過は概ね良好であったが術前から認められた肝障害が増悪した.前医にて精査したところ原因が不明であったため,胆嚢摘出術より1カ月後に当院紹介受診した.CTやMRCPでは総胆管に限局性の狭窄を認め,ERCPにて胆道ドレナージを行った.狭窄部の生検では胆管壁に好酸球浸潤を認め,末梢血好酸球数増加所見と併せ好酸球性胆管炎と診断した.ドレナージ後に胆管狭窄は軽快し,ご本人の希望もあったためステロイドは投与せず経過観察の方針となった.その後1年間無治療経過観察しているが,正常胆管像となり肝胆道系酵素も正常...

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Published inTando Vol. 30; no. 4; pp. 731 - 740
Main Authors 大池, 信之, 長濵, 正亞, 高野, 祐一, 丸岡, 直隆, 山村, 詠一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本胆道学会 2016
Japan Biliary Association
Subjects
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ISSN0914-0077
1883-6879
DOI10.11210/tando.30.731

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Summary:症例は52歳,男性.既往歴,アレルギー歴に特記事項.前医にて急性胆嚢炎に対し胆嚢摘出術を施行され,術後経過は概ね良好であったが術前から認められた肝障害が増悪した.前医にて精査したところ原因が不明であったため,胆嚢摘出術より1カ月後に当院紹介受診した.CTやMRCPでは総胆管に限局性の狭窄を認め,ERCPにて胆道ドレナージを行った.狭窄部の生検では胆管壁に好酸球浸潤を認め,末梢血好酸球数増加所見と併せ好酸球性胆管炎と診断した.ドレナージ後に胆管狭窄は軽快し,ご本人の希望もあったためステロイドは投与せず経過観察の方針となった.その後1年間無治療経過観察しているが,正常胆管像となり肝胆道系酵素も正常化している.今回我々は,急性胆嚢炎で発症し,その後胆管狭窄を呈するもステロイド治療を行わず無治療で軽快した好酸球性胆道炎の1例を経験したため,若干の論文的考察を加えて報告する.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando.30.731