同時性多発胆管内乳頭状腫瘍の1例
症例は74歳女性.上腹部痛を主訴に近医を受診.腹部超音波検査で総胆管内のstrong echoと総胆管・肝内胆管の拡張を指摘され,精査加療目的で当院紹介受診となった.造影CT検査にて下部胆管に淡い造影効果を有する腫瘤性病変を2カ所に認めた.ERCP時の生検にてadenocarcinomaと診断されたため,下部胆管癌の診断にて亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した.病理組織所見では,2病変はいずれも高分化な乳頭腺癌であり,深達度fmの早期胆管癌であった.WHOの組織分類に準じ,胆管内乳頭状腫瘍(intraductal papillary neoplasm of the bile duct:IPN...
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Published in | Tando Vol. 31; no. 4; pp. 752 - 758 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本胆道学会
2017
Japan Biliary Association |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0914-0077 1883-6879 |
DOI | 10.11210/tando.31.752 |
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Summary: | 症例は74歳女性.上腹部痛を主訴に近医を受診.腹部超音波検査で総胆管内のstrong echoと総胆管・肝内胆管の拡張を指摘され,精査加療目的で当院紹介受診となった.造影CT検査にて下部胆管に淡い造影効果を有する腫瘤性病変を2カ所に認めた.ERCP時の生検にてadenocarcinomaと診断されたため,下部胆管癌の診断にて亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した.病理組織所見では,2病変はいずれも高分化な乳頭腺癌であり,深達度fmの早期胆管癌であった.WHOの組織分類に準じ,胆管内乳頭状腫瘍(intraductal papillary neoplasm of the bile duct:IPNB)と診断された.2病変間には低乳頭状構築を示す粘膜が認められたが,明らかな腫瘍の連続性とする異型はみられなかったため同時多発性IPNBと判断された.IPNBの同時性多発例の報告は少なく非常に稀な病態と考えられたため,文献的考察を加え報告する. |
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ISSN: | 0914-0077 1883-6879 |
DOI: | 10.11210/tando.31.752 |