気管支脂肪腫の1手術例

はじめに.気管支壁に発生し腔内進展する腫瘍の中でも気管支脂肪腫の報告は稀である.今回我々は気管支内腫瘤を認め,左上葉切除を行い,endobronchial lipomaの診断に至った1症例を経験したので報告する.症例.55歳男性.他疾患術前の胸部X線写真で異常陰影を指摘された.胸部CTにて,左上葉気管支を閉塞する腫瘍が判明した.左上葉は完全無気肺であり,腫瘍より遠位部に気管支拡張像を認めた.気管支鏡検査にて左上葉の気管支を閉塞する弾性軟の腫瘍を認め,その奥から膿汁の排出があった.生検では腫瘍性病変が疑われたが,明らかな悪性所見は認められなかった.しかしながら生検標本での確定診断は困難であった....

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Published in気管支学 Vol. 40; no. 4; pp. 337 - 340
Main Authors 金田, 真吏, 德井, 俊也, 谷川, 元昭, 近藤, 茂人, 豊島, 弘一, 井谷, 英敏, 笹野, 元
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 25.07.2018
日本呼吸器内視鏡学会
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Summary:はじめに.気管支壁に発生し腔内進展する腫瘍の中でも気管支脂肪腫の報告は稀である.今回我々は気管支内腫瘤を認め,左上葉切除を行い,endobronchial lipomaの診断に至った1症例を経験したので報告する.症例.55歳男性.他疾患術前の胸部X線写真で異常陰影を指摘された.胸部CTにて,左上葉気管支を閉塞する腫瘍が判明した.左上葉は完全無気肺であり,腫瘍より遠位部に気管支拡張像を認めた.気管支鏡検査にて左上葉の気管支を閉塞する弾性軟の腫瘍を認め,その奥から膿汁の排出があった.生検では腫瘍性病変が疑われたが,明らかな悪性所見は認められなかった.しかしながら生検標本での確定診断は困難であった.手術:前側方第4肋間小開胸で左上葉切除を行った.胸腔内に胸水や膿汁は認めず,葉間は強固に癒着していた.左上葉は全体が無気肺となり,内容は膿汁で緊満し実質臓器様であった.病理組織診断:Endobronchial lipoma.経過:経過良好であり術後5日目に独歩退院となった.結語.肺の不可逆的変化を考慮して左上葉切除を行った気管支脂肪腫の1例を経験したので報告した.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.40.4_337