高光度化学発光タンパク質の開発と生命科学研究への応用

「1. はじめに」蛍光タンパク質は, タンパク質の動態を観察するタグとしてだけではなく, 細胞の生理的状態を可視化する機能性センサーとしても, 生命科学研究において欠かすことのできないツールになっている. しかしながら, ライブイメージングの測定対象の多くは細胞内に微量しか存在しないため, 自家蛍光がそのシグナルを覆い隠してしまい, 蛍光観察が困難になることがある. また, 高速な生命現象を計測するために, 真夏の日光の何倍もの強度の光を照射する必要があり, 細胞の生理状態を大きく攪乱する恐れがある. このような問題点を解決するために, 我々はホタルに代表される化学発光タンパク質(ルシフェラー...

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Published in生物物理 Vol. 57; no. 5; pp. 262 - 264
Main Authors 鈴木, 和志, 永井, 健治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本生物物理学会 2017
日本生物物理学会
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ISSN0582-4052
1347-4219
DOI10.2142/biophys.57.262

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Summary:「1. はじめに」蛍光タンパク質は, タンパク質の動態を観察するタグとしてだけではなく, 細胞の生理的状態を可視化する機能性センサーとしても, 生命科学研究において欠かすことのできないツールになっている. しかしながら, ライブイメージングの測定対象の多くは細胞内に微量しか存在しないため, 自家蛍光がそのシグナルを覆い隠してしまい, 蛍光観察が困難になることがある. また, 高速な生命現象を計測するために, 真夏の日光の何倍もの強度の光を照射する必要があり, 細胞の生理状態を大きく攪乱する恐れがある. このような問題点を解決するために, 我々はホタルに代表される化学発光タンパク質(ルシフェラーゼ)を用いたライブイメージングに取り組んできた. 化学発光は, ルシフェラーゼによる発光基質の酸化触媒反応により発光する現象であり, 励起光照射を一切必要としない.
ISSN:0582-4052
1347-4219
DOI:10.2142/biophys.57.262