夏期暑熱環境下ハウス栽培作業時における農業従事者の体温調節反応

目的は,夏期暑熱下ハウス作業時の体温調節応答を調べ,特に高齢の農業従事者における熱中症の危険性を評価することである.ハウス農業従事者男性(25 名,年齢 59.6±6.7 歳)において,ガラス型ハウス内で花卉栽培および土壌作り作業時の環境温度,鼓膜温,心拍数,発汗量および汗中塩分濃度,水分補給量,口渇感を測定した.WBGT は,27.4 から 30.1℃であった.発汗量および推定汗中塩分喪失量は,668.7±179.5 g/hr および 545±347 mg/hr,鼓膜温上昇量は 0.27±0.1℃,水分補給量は 236.5±62.4 g/hr,脱水率は 2.15±0.72%,作業終了時の口渇...

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Published in日本生気象学会雑誌 Vol. 53; no. 2; pp. 95 - 103
Main Authors 樫村, 修生, 桜井, 政夫, 齋藤, 雄司, 野田, 恒行
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本生気象学会 01.07.2016
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ISSN0389-1313
1347-7617
DOI10.11227/seikisho.53.95

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Summary:目的は,夏期暑熱下ハウス作業時の体温調節応答を調べ,特に高齢の農業従事者における熱中症の危険性を評価することである.ハウス農業従事者男性(25 名,年齢 59.6±6.7 歳)において,ガラス型ハウス内で花卉栽培および土壌作り作業時の環境温度,鼓膜温,心拍数,発汗量および汗中塩分濃度,水分補給量,口渇感を測定した.WBGT は,27.4 から 30.1℃であった.発汗量および推定汗中塩分喪失量は,668.7±179.5 g/hr および 545±347 mg/hr,鼓膜温上昇量は 0.27±0.1℃,水分補給量は 236.5±62.4 g/hr,脱水率は 2.15±0.72%,作業終了時の口渇感は 56.0±17.9% に達した.年齢と発汗量,脱水率,体温上昇量および汗中塩分損失量の間には正の相関関係,年齢と口渇感の変化の間には負の相関関係が認められた.夏期ハウス作業時において,高齢の農業従事者は発汗量が増加し口渇感の増大が少なく水分補給が低下し,脱水率および体温上昇が大きくなった.高齢の農業従事者は,夏期ハウス作業時には,塩分を含んだ水分の十分な補給の指導が急務である.
ISSN:0389-1313
1347-7617
DOI:10.11227/seikisho.53.95