正木ら“肺結核との鑑別を要したPasteurella multocida肺感染症の1例”

パスツレラ感染症は, 卵円形のインフルエンザ菌に似る非常に小さなグラム陰性桿菌であるパスツレラ属菌による感染症である. 本菌は, 人獣共通感染症の原因菌として知られている. 本属菌のなかで最初に見出されたのは, パスツレラ・ムルトシダ(Pasteurella multocida)であり, 現在でも本属菌のヒトへの感染症のなかでもっとも高頻度に分離されている. 本属菌は多くの動物の口腔内, 鼻咽腔, 上気道に常在しており, その保菌率はネコで70~90%, イヌで20~50%にのぼる. 本菌は保菌動物からの唾液や, 上気道分泌液を通じてヒトに感染し, 皮膚軟部組織感染症, 敗血症や肺炎を含む各種...

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Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 39; no. 4; pp. 305 - 306
Main Author 清水, 英治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2017
日本呼吸器内視鏡学会
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.39.4_305

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Summary:パスツレラ感染症は, 卵円形のインフルエンザ菌に似る非常に小さなグラム陰性桿菌であるパスツレラ属菌による感染症である. 本菌は, 人獣共通感染症の原因菌として知られている. 本属菌のなかで最初に見出されたのは, パスツレラ・ムルトシダ(Pasteurella multocida)であり, 現在でも本属菌のヒトへの感染症のなかでもっとも高頻度に分離されている. 本属菌は多くの動物の口腔内, 鼻咽腔, 上気道に常在しており, その保菌率はネコで70~90%, イヌで20~50%にのぼる. 本菌は保菌動物からの唾液や, 上気道分泌液を通じてヒトに感染し, 皮膚軟部組織感染症, 敗血症や肺炎を含む各種感染症を発症するが, 前述のように本菌が高率に愛玩動物に保菌されているため, 本菌感染症は頻度の高い人獣共通感染症とされている.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.39.4_305