遠位胆管癌による膵頭十二指腸切除後,肝内胆管癌に対して肝切除を施行した1例

症例は74歳女性,遠位胆管癌に対して亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行,術後病理組織診断(胆道癌取扱い規約第6版)では,Bd tub1 T3a N1(#17b)M0 DM0 HM0 EM0 PV0 A0 R0 stage IIBであり,術後補助化学療法としてTS-1 80mg/m2(14日投与7日休薬1コース)を1年間施行した.その後,4年8カ月後にCA19-9が67U/ml(0~37)と上昇を認め,精査を施行したところ原発性の肝内胆管癌の疑いにて手術の運びとなった.前回のBenz切開にて開腹し,右葉の脱転を行い,Pringle法は併用せず,肝S7部分切除を施行した.膵頭十二指腸切除術後であっ...

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Published inTando Vol. 32; no. 2; pp. 256 - 262
Main Authors 廣川, 文鋭, 東野, 健, 竹下, 篤, 三上, 高司, 井上, 善博, 新田, 敏勝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本胆道学会 31.05.2018
Japan Biliary Association
Subjects
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ISSN0914-0077
1883-6879
DOI10.11210/tando.32.256

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Summary:症例は74歳女性,遠位胆管癌に対して亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行,術後病理組織診断(胆道癌取扱い規約第6版)では,Bd tub1 T3a N1(#17b)M0 DM0 HM0 EM0 PV0 A0 R0 stage IIBであり,術後補助化学療法としてTS-1 80mg/m2(14日投与7日休薬1コース)を1年間施行した.その後,4年8カ月後にCA19-9が67U/ml(0~37)と上昇を認め,精査を施行したところ原発性の肝内胆管癌の疑いにて手術の運びとなった.前回のBenz切開にて開腹し,右葉の脱転を行い,Pringle法は併用せず,肝S7部分切除を施行した.膵頭十二指腸切除術後であったが,安全に施行し得た.経過良好にて8日目に軽快退院となり,肝S7の腫瘍は大きさ0.7cmで(Hs),T1N0M0 stage I(原発性肝癌取扱い規約第6版)であった.組織学的には高分化型の管状腺癌であった.術後約7カ月経過したが,無再発にて外来通院中である.本症例のように切除することにより,少なからず予後延長が期待できる症例が存在する.遠位胆管癌切除後の異時性肝内胆管癌の頻度は,自験例を含めるならば7例と少ない.しかしながら,十分に起こり得る病態であり,切除したからこそ,長期予後を見込める可能性がある.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando.32.256