肝外胆管のびまん性壁肥厚を伴った胆管リンパ性ポリポーシスの1例

症例は75歳男性.右腎外傷後の経過観察で施行されたCT検査にて,肝外胆管に結節性病変を指摘された.EUSおよびMRCPにて上部から中部胆管にかけて,多発する隆起性病変を認めた.管腔内超音波検査(IDUS)では上中部胆管のみならず,下部胆管にもびまん性に広がる不整な壁肥厚を認め,部分的に複数の隆起を形成していた.胆管生検と細胞診では悪性細胞を認めなかったが,肝外胆管に不整な壁肥厚を認めたことから,胆管癌を否定できず膵頭十二指腸切除術を施行した.切除標本は粘膜内にリンパ濾胞の孤立性,集合性の過形成を認めるものの,悪性所見を認めず,胆管リンパ性ポリポーシスと診断した.胆道のリンパ性ポリープは非常に稀...

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Published inTando Vol. 29; no. 1; pp. 145 - 151
Main Authors 長谷川, 繁生, 小林, 敏一, 赤松, 学, 大村, 清成, 布山, 繁美, 小澤, 孝一郎, 安藤, 嘉章, 牧野, 直彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本胆道学会 2015
Japan Biliary Association
一般社団法人 日本胆道学会
Subjects
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ISSN0914-0077
1883-6879
DOI10.11210/tando.29.145

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Summary:症例は75歳男性.右腎外傷後の経過観察で施行されたCT検査にて,肝外胆管に結節性病変を指摘された.EUSおよびMRCPにて上部から中部胆管にかけて,多発する隆起性病変を認めた.管腔内超音波検査(IDUS)では上中部胆管のみならず,下部胆管にもびまん性に広がる不整な壁肥厚を認め,部分的に複数の隆起を形成していた.胆管生検と細胞診では悪性細胞を認めなかったが,肝外胆管に不整な壁肥厚を認めたことから,胆管癌を否定できず膵頭十二指腸切除術を施行した.切除標本は粘膜内にリンパ濾胞の孤立性,集合性の過形成を認めるものの,悪性所見を認めず,胆管リンパ性ポリポーシスと診断した.胆道のリンパ性ポリープは非常に稀な疾患であり,さらに胆管リンパ性ポリープの報告はない.本症例で認めた肝外胆管隆起部の壁内低エコー像は胆道の良性腫瘍である炎症性ポリープの超音波像と類似していた.この超音波像は胆道の良性腫瘍を示唆する重要な所見と思われた.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando.29.145