IgG4関連硬化性胆管炎の組織所見を伴った下部胆管癌の1切除例

症例:79歳,男性,主訴は上腹部痛.血液検査で,CA19-9が182U/mlと高値を示したため精密検査を行った.CT検査にて胆管壁肥厚を指摘され,ERCP検査を行った.肝外胆管に狭窄病変を認め,同時に行った経乳頭的胆管生検にて中分化型腺癌と診断された.PET-CT検査では胆管にFDGの集積を認めた.以上より下部胆管癌の診断にて亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した.(UICC pTNM 7th ed)T2,N1,M0,G2,Stage IIBであった.胆管壁は炎症性肥厚が目立ち,強拡1視野あたり10個以上のIgG4陽性細胞と花筵状線維化を認め,IgG4関連硬化性胆管炎に見られる病理所見を伴って...

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Published inTando Vol. 30; no. 5; pp. 864 - 869
Main Authors 桑野, 博行, 調, 憲, 久保, 憲生, 伊古田, 勇人, 石井, 範洋, 渡辺, 亮, 塚越, 真梨子, 齊藤, 文良, 新木, 健一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本胆道学会 2016
Japan Biliary Association
Subjects
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ISSN0914-0077
1883-6879
DOI10.11210/tando.30.864

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Summary:症例:79歳,男性,主訴は上腹部痛.血液検査で,CA19-9が182U/mlと高値を示したため精密検査を行った.CT検査にて胆管壁肥厚を指摘され,ERCP検査を行った.肝外胆管に狭窄病変を認め,同時に行った経乳頭的胆管生検にて中分化型腺癌と診断された.PET-CT検査では胆管にFDGの集積を認めた.以上より下部胆管癌の診断にて亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した.(UICC pTNM 7th ed)T2,N1,M0,G2,Stage IIBであった.胆管壁は炎症性肥厚が目立ち,強拡1視野あたり10個以上のIgG4陽性細胞と花筵状線維化を認め,IgG4関連硬化性胆管炎に見られる病理所見を伴っていた.今回,IgG4陽性形質細胞浸潤と花筵状線維化を伴った下部胆管癌の一切除例を経験した.IgG4陽性形質細胞浸潤を伴う胆道狭窄の診断には胆管癌を伴う場合があり,積極的な病理検査が必要である.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando.30.864