胆囊周囲脂肪組織から発生した脱分化型脂肪肉腫の1例

脱分化型脂肪肉腫は,脂肪肉腫の約40%を占める異型脂肪腫様腫瘍/高分化型脂肪肉腫のうち約10%に生じる比較的まれな疾患である.症例は71歳女性,連日の38℃以上の発熱と全身倦怠感を主訴に来院した.CT検査で肝S4-5下面から胆囊の間に80×60×50mm大の不均一な造影効果を有する腫瘤性病変を認めた.肝S4-5との境界は不明瞭で,腹腔遊離側は被膜様構造を認め境界は明瞭であった.同腫瘤はMRI検査では,T1で軽度高信号,T2で高信号の軟部組織腫瘤とその右側の脂肪組織からなり,充実部は拡散強調画像で高信号,ADC値の著明な低下を認めた.肝への直接浸潤を伴う脂肪肉腫を疑い開腹した.術中所見では,腫瘍...

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Published inTando Vol. 30; no. 1; pp. 119 - 126
Main Authors 内藤, 嘉紀, 谷脇, 慎一, 中山, 正道, 谷脇, 智, 中山, 剛一, 檜垣, 浩一, 中山, 和道
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本胆道学会 2016
Japan Biliary Association
Subjects
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ISSN0914-0077
1883-6879
DOI10.11210/tando.30.119

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Summary:脱分化型脂肪肉腫は,脂肪肉腫の約40%を占める異型脂肪腫様腫瘍/高分化型脂肪肉腫のうち約10%に生じる比較的まれな疾患である.症例は71歳女性,連日の38℃以上の発熱と全身倦怠感を主訴に来院した.CT検査で肝S4-5下面から胆囊の間に80×60×50mm大の不均一な造影効果を有する腫瘤性病変を認めた.肝S4-5との境界は不明瞭で,腹腔遊離側は被膜様構造を認め境界は明瞭であった.同腫瘤はMRI検査では,T1で軽度高信号,T2で高信号の軟部組織腫瘤とその右側の脂肪組織からなり,充実部は拡散強調画像で高信号,ADC値の著明な低下を認めた.肝への直接浸潤を伴う脂肪肉腫を疑い開腹した.術中所見では,腫瘍と胆囊は脂肪組織に被覆されており,胆囊床部を含め一塊として摘出した.病理結果は脱分化型脂肪肉腫であった.胆囊周囲の脂肪組織は脂肪肉腫の発生部位として極めてまれであり文献的考察を加えて報告する.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando.30.119