根治的肝切除後に下部胆管再発をきたした胆管内乳頭状腫瘍の1例

症例は68歳の男性.2011年8月に胆管内発育型肝内胆管癌の診断で肝右葉・尾状葉切除,肝外胆管切除術を施行した.病理組織所見は粘液産生を伴う高分化型腺癌で,胆管内乳頭状腫瘍(intraductal papillary neoplasm of the bile duct:IPNB)由来の浸潤癌と診断された.胆管断端は陰性であった.術後1年4カ月後の腹部CTで遺残下部胆管の拡張と胆管内の腫瘍を認め,下部胆管癌もしくは乳頭部癌の診断で膵頭十二指腸切除術を施行した.病理組織所見では,腫瘍は初回手術時と同様の組織像を呈する浸潤性乳頭腺癌であった.IPNBは外科切除により良好な予後が期待できるとされるが,...

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Published inTando Vol. 29; no. 2; pp. 271 - 278
Main Authors 伊藤, 貴明, 大木, 克久, 上坂, 克彦, 金本, 秀行, 岡村, 行泰, 佐々木, 恵子, 中沼, 安二, 栗原, 唯生, 蘆田, 良, 杉浦, 禎一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本胆道学会 2015
Japan Biliary Association
Subjects
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ISSN0914-0077
1883-6879
DOI10.11210/tando.29.271

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Summary:症例は68歳の男性.2011年8月に胆管内発育型肝内胆管癌の診断で肝右葉・尾状葉切除,肝外胆管切除術を施行した.病理組織所見は粘液産生を伴う高分化型腺癌で,胆管内乳頭状腫瘍(intraductal papillary neoplasm of the bile duct:IPNB)由来の浸潤癌と診断された.胆管断端は陰性であった.術後1年4カ月後の腹部CTで遺残下部胆管の拡張と胆管内の腫瘍を認め,下部胆管癌もしくは乳頭部癌の診断で膵頭十二指腸切除術を施行した.病理組織所見では,腫瘍は初回手術時と同様の組織像を呈する浸潤性乳頭腺癌であった.IPNBは外科切除により良好な予後が期待できるとされるが,本症例のように治癒切除後も遺残胆管に再発する可能性があるため,注意深い経過観察が必要である.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando.29.271