歯科医院に常備すべき緊急薬剤を再考する
「はじめに」超高齢者社会を迎えたわが国では, 歯科患者の多くが循環器系, 呼吸器系, 内分泌系など様々な基礎疾患を有しており, 治療中およびその前後に基礎疾患の急性増悪を認めることがある. また基礎疾患がない若年者であっても歯科治療に関連した不安や痛みなどのストレスが原因となり, 血管迷走神経反射や過換気症候群を発症する. 国内の大学病院における歯科治療時の全身的偶発症の発生頻度は約8,300~32,000症例に1例であり, 血管迷走神経反射, 過換気症候群, 異物誤飲誤嚥の頻度が高いが, 基礎疾患に関連した異常高血圧, 狭心症発作, 低血糖なども報告されている. これらの偶発症に対し, 歯科...
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Published in | 歯科薬物療法 Vol. 41; no. 1; pp. 1 - 9 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本歯科薬物療法学会
2022
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Subjects | |
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Summary: | 「はじめに」超高齢者社会を迎えたわが国では, 歯科患者の多くが循環器系, 呼吸器系, 内分泌系など様々な基礎疾患を有しており, 治療中およびその前後に基礎疾患の急性増悪を認めることがある. また基礎疾患がない若年者であっても歯科治療に関連した不安や痛みなどのストレスが原因となり, 血管迷走神経反射や過換気症候群を発症する. 国内の大学病院における歯科治療時の全身的偶発症の発生頻度は約8,300~32,000症例に1例であり, 血管迷走神経反射, 過換気症候群, 異物誤飲誤嚥の頻度が高いが, 基礎疾患に関連した異常高血圧, 狭心症発作, 低血糖なども報告されている. これらの偶発症に対し, 歯科医師は適切に対応することが求められ, 体位変換やバイタルサインの観察のみで軽快することもあるが, 緊急薬剤による治療が必要な症例も少なくない. |
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ISSN: | 0288-1012 1884-4928 |
DOI: | 10.11263/jsotp.22.09 |