チタンへの超親水処理後の水中保存が骨芽細胞の動態に及ぼす影響

「緒言」近年, 表面濡れ性が骨芽細胞の動態, ひいてはオッセオインテグレーションに影響を及ぼすことが指摘され, 表面濡れ性が著しく向上した超親水性表面を持つインプラントも市販されている. 親水性と細胞接着の関係では, 親水性が大きな(水の濡れ性が大きい, 接触角が小さい)表面で初期細胞接着, 細胞増殖, 細胞分化が増大傾向にあることが報告されている. 江黒らは, チタンの表面形状と表面性状(特に超親水性処理)を変化させ, 接触角の測定や詳細な表面分析を行った. その結果, ブラスト処理後に酸エッチングを施した条件(化学処理)のみではなく, 物理処理であるプラズマ処理やUV処理を施した試料におい...

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Published inJournal of Japanese Society of Oral Implantology Vol. 30; no. 3; pp. 200 - 209
Main Authors 柴多, 浩一, 吉谷, 正純, 吉成, 正雄, 上林, 毅, 川村, 良
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本口腔インプラント学会 2017
日本口腔インプラント学会
Japanese Society of Oral Implantology
Subjects
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ISSN0914-6695
2187-9117
DOI10.11237/jsoi.30.200

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Summary:「緒言」近年, 表面濡れ性が骨芽細胞の動態, ひいてはオッセオインテグレーションに影響を及ぼすことが指摘され, 表面濡れ性が著しく向上した超親水性表面を持つインプラントも市販されている. 親水性と細胞接着の関係では, 親水性が大きな(水の濡れ性が大きい, 接触角が小さい)表面で初期細胞接着, 細胞増殖, 細胞分化が増大傾向にあることが報告されている. 江黒らは, チタンの表面形状と表面性状(特に超親水性処理)を変化させ, 接触角の測定や詳細な表面分析を行った. その結果, ブラスト処理後に酸エッチングを施した条件(化学処理)のみではなく, 物理処理であるプラズマ処理やUV処理を施した試料においても接触角がほぼゼロである超親水性を示した. なお一般的に, 超親水性表面とは水の接触角が5°未満の表面を指し, 親水性表面とは水の接触角が5°~90°の表面を指す. また, この超親水性は大気中保存で急速に失われたが, 水中保存では超親水性を維持することを明らかにした.
ISSN:0914-6695
2187-9117
DOI:10.11237/jsoi.30.200