地域包括支援センター職員による高齢者のうつに対する二次予防への取り組みと課題

「I 緒言」 うつ病は, 認知症と並び高齢者の主要な精神疾患であり, 高齢者の自殺の原因の一つでもあり, 高齢化の進む我が国において, 精神保健領域で緊急の課題となっている(大野, 2007). 我が国では, 自殺者総数のうち60歳以上の割合が全体の36.6%を占め(平成19年)(警察庁生活安全局地域課, 2008), これは他の先進国と比べても高率であり, 60歳以上の自殺を原因別にみた場合, 「うつ病」は「身体の病気」に次いで多い. また, 高齢者は, 老化やライフイベントに伴う身体的, 心理的, 社会的体験などから様々なストレスを感じることが多く, うつ状態や治療を要するうつ病(うつ状態...

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Published in民族衛生 Vol. 77; no. 5; pp. 175 - 186
Main Authors 鈴木, 良美, 北畠, 義典, 鈴木, 友理子, 吉田, 英世, 井原, 一成
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本民族衛生学会 2011
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Summary:「I 緒言」 うつ病は, 認知症と並び高齢者の主要な精神疾患であり, 高齢者の自殺の原因の一つでもあり, 高齢化の進む我が国において, 精神保健領域で緊急の課題となっている(大野, 2007). 我が国では, 自殺者総数のうち60歳以上の割合が全体の36.6%を占め(平成19年)(警察庁生活安全局地域課, 2008), これは他の先進国と比べても高率であり, 60歳以上の自殺を原因別にみた場合, 「うつ病」は「身体の病気」に次いで多い. また, 高齢者は, 老化やライフイベントに伴う身体的, 心理的, 社会的体験などから様々なストレスを感じることが多く, うつ状態や治療を要するうつ病(うつ状態やうつ病をあわせて「うつ」と呼ぶ)になりやすいと考えられている. さらに, うつは単に精神面だけではなく, 心身両面に影響を与える疾患であり, 高齢者のうつ対策は自殺予防に加えて, 生活習慣病予防・進展防止, ひいては要支援・要介護高齢者を少なくするためにも重要である(大野, 2009).
ISSN:0368-9395
1882-868X
DOI:10.3861/jshhe.77.175