膵疾患におけるMR拡散強調像:有用性,限界と新たな展開

拡散強調像は水分子の拡散現象を画像化する方法であり,拡散の程度を見かけの拡散係数(ADC値)として定量することができる.拡散強調像による定量的評価は種々の膵疾患に応用されている.今回我々は限局型自己免疫性膵炎11病変と膵癌70病変を対象にADC値測定を含めた画像解析を行い鑑別に有用な所見の検索を行った.限局型自己免疫性膵炎のADC値(0.79×10-3mm2/sec)は,膵癌のADC値(1.10×10-3mm2/sec)に比べ有意に低値であった.鑑別に有用であったその他の画像所見とADC値による定量的評価を組み合わせた鑑別診断能は感度91%~100%,特異度98%~100%と極めて高い値を示し...

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Bibliographic Details
Published in膵臓 Vol. 26; no. 1; pp. 72 - 78
Main Authors 市川, 智章, 本杉, 宇太郎, 荒木, 力
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本膵臓学会 2011
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ISSN0913-0071
1881-2805
DOI10.2958/suizo.26.72

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Summary:拡散強調像は水分子の拡散現象を画像化する方法であり,拡散の程度を見かけの拡散係数(ADC値)として定量することができる.拡散強調像による定量的評価は種々の膵疾患に応用されている.今回我々は限局型自己免疫性膵炎11病変と膵癌70病変を対象にADC値測定を含めた画像解析を行い鑑別に有用な所見の検索を行った.限局型自己免疫性膵炎のADC値(0.79×10-3mm2/sec)は,膵癌のADC値(1.10×10-3mm2/sec)に比べ有意に低値であった.鑑別に有用であったその他の画像所見とADC値による定量的評価を組み合わせた鑑別診断能は感度91%~100%,特異度98%~100%と極めて高い値を示した. これらの結果により拡散強調像の有用性が示されたが,一方で既報と比較することにより撮像方法によるADC値のばらつきなど限界があることも示された.IVIM-DWIモデルを用いた拡散強調像の今後の展開について述べる.
ISSN:0913-0071
1881-2805
DOI:10.2958/suizo.26.72