NPO法人「手術を受けた子どもの成長支援」の活動

【目的】手術を受けた子どもの成長を支援するNPO法人の活動について報告すると共に,日常の診療時とは異なる視点から術後患児のQOLの問題点を探り,その解決策を検討すること.【方法】小児外科手術を受けた患児34名に対して,質問紙法によるアンケートを行い患児の健康上困っていること,医療情報の入手方法などを調査した.【結果】平成27年10月にNPO法人設立総会を開き,平成28年2月にNPO法人「手術を受けた子どもの成長支援」が認可された.NPO活動として健康相談会および,市民公開講演会を主催した.アンケート調査では34名全員から回答を得た.回答者の内訳は,先天性胆道拡張症の患児が27名,直腸肛門奇形3...

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Published in日本小児外科学会雑誌 Vol. 55; no. 6; pp. 1056 - 1060
Main Authors 岩田, 譲司, 後藤, 幸勝, 佐々木, 康成, 出口, 英一, 坂井, 佳恵, 岩井, 直躬
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本小児外科学会 20.10.2019
日本小児外科学会
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ISSN0288-609X
2187-4247
DOI10.11164/jjsps.55.6_1056

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Summary:【目的】手術を受けた子どもの成長を支援するNPO法人の活動について報告すると共に,日常の診療時とは異なる視点から術後患児のQOLの問題点を探り,その解決策を検討すること.【方法】小児外科手術を受けた患児34名に対して,質問紙法によるアンケートを行い患児の健康上困っていること,医療情報の入手方法などを調査した.【結果】平成27年10月にNPO法人設立総会を開き,平成28年2月にNPO法人「手術を受けた子どもの成長支援」が認可された.NPO活動として健康相談会および,市民公開講演会を主催した.アンケート調査では34名全員から回答を得た.回答者の内訳は,先天性胆道拡張症の患児が27名,直腸肛門奇形3名およびヒルシュスプルング病4名であった.10歳以上の胆道拡張症11名中3名が発癌の可能性,3名が術後結石に関して不安を抱えていた.10歳未満の胆道拡張症10名中3名が発癌の可能性,2名が腹痛について,ヒルシュスプルング病2名中1名が創痕,1名が中心静脈栄養と成長について,また直腸肛門奇形3名中1名が腹痛について,1名が排便・排尿回数が多いことを質問した.日頃の医療情報の入手については,34名中32名が病院・主治医から得ているとした.一方,22名がインターネットを挙げた.【結論】小児外科術後患児と家族は定期的な外来診察に際して,主治医に悩みなどを十分に相談できていない可能性が浮き彫りとなった.また,患児と家族の医療情報の収集においてインターネットやSNSなどのネット情報が重みを増してきていることが明らかになった.NPO活動を通じて,術後患児の日常生活における不安・心配や困っていることを抽出し,情報提供をしていく必要があると考えられた.
ISSN:0288-609X
2187-4247
DOI:10.11164/jjsps.55.6_1056