気管支鏡検査で診断し根治的切除を行った,肺カルチノイドと非結核性抗酸菌症の合併例

背景.肺カルチノイドと非結核性抗酸菌症(NTM)の合併は稀である.症例.51歳女性.肺癌検診CTで右S8に4.4 cmの腫瘤影とその周囲に粒状影を指摘され,抗酸菌症などの気道感染や炎症性偽腫瘍を疑う所見であった.喀痰からはMycobacterium intracellulareが分離された.気管支鏡では右B8aを閉塞する隆起性病変を認め,生検でカルチノイドを疑う胞巣を認めた.胸腔鏡補助下右下葉切除+リンパ節郭清を施行し,定型的カルチノイドの診断となった.その末梢にはM. intracellulareによる肉芽腫性炎症を認めた.結論.肺カルチノイドとNTMの併発の機序としては,カルチノイドにより...

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Published in気管支学 Vol. 40; no. 1; pp. 21 - 25
Main Authors 古賀, 教将, 吉本, 健太郎, 松山, 洋美, 太良, 哲彦, 是枝, 快泉, 川畑, 政治, 廣津, 泰寛, 久保田, 伊知郎, 鈴木, 実
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2018
日本呼吸器内視鏡学会
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Summary:背景.肺カルチノイドと非結核性抗酸菌症(NTM)の合併は稀である.症例.51歳女性.肺癌検診CTで右S8に4.4 cmの腫瘤影とその周囲に粒状影を指摘され,抗酸菌症などの気道感染や炎症性偽腫瘍を疑う所見であった.喀痰からはMycobacterium intracellulareが分離された.気管支鏡では右B8aを閉塞する隆起性病変を認め,生検でカルチノイドを疑う胞巣を認めた.胸腔鏡補助下右下葉切除+リンパ節郭清を施行し,定型的カルチノイドの診断となった.その末梢にはM. intracellulareによる肉芽腫性炎症を認めた.結論.肺カルチノイドとNTMの併発の機序としては,カルチノイドにより気管支が閉塞されてドレナージ不良となり,末梢でNTMが発育したと考えられる.気管支鏡検査で術前に診断が得られたことで一期的に根治切除を行うことができた.NTMと肺悪性腫瘍の合併例では診断が遅れる可能性があり,早期の気管支鏡による精査や厳密な経過観察が必要である.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.40.1_21