カルシウムイメージング法を用いた摂食神経回路網の研究

「1. はじめに」おいしい物は食べ, 食べられない物や生体にとって有害と感じられる物は吐き出す. 腹がすけば食べ物を探すし, 満腹であれば目の前にたくさんの食物があっても食べない. このような動物の行動は, 生体の外部および内部からの情報を統合, 処理することで発現する. 生体内でこのような情報処理を行う器官が脳神経系である. 脳神経系での情報処理は, ニューロンと呼ばれる神経細胞がシナプスを介して結合した非常に複雑なネットワーク(神経回路網)の中で化学的, 電気的な信号を用い行われる. 生物の神経回路網は非常に巧妙かつ複雑なため, その全容を解明することは, たとえ下等動物であっても非常に困...

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Published in生物物理 Vol. 43; no. 1; pp. 15 - 20
Main Authors 吉田, 竜介, 長濱, 辰文
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本生物物理学会 2003
日本生物物理学会
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ISSN0582-4052
1347-4219
DOI10.2142/biophys.43.15

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Summary:「1. はじめに」おいしい物は食べ, 食べられない物や生体にとって有害と感じられる物は吐き出す. 腹がすけば食べ物を探すし, 満腹であれば目の前にたくさんの食物があっても食べない. このような動物の行動は, 生体の外部および内部からの情報を統合, 処理することで発現する. 生体内でこのような情報処理を行う器官が脳神経系である. 脳神経系での情報処理は, ニューロンと呼ばれる神経細胞がシナプスを介して結合した非常に複雑なネットワーク(神経回路網)の中で化学的, 電気的な信号を用い行われる. 生物の神経回路網は非常に巧妙かつ複雑なため, その全容を解明することは, たとえ下等動物であっても非常に困難である. しかし, 動物の行動を考える上で, それを発現, 調節する神経回路を明らかにすることは非常に重要で, 興味深い問題である. 従来, 神経回路の研究ではガラス微小電極などを用いた電気生理学的手法により, 個々のニューロンから電位変化を記録していた.
ISSN:0582-4052
1347-4219
DOI:10.2142/biophys.43.15