石灰化を伴い気管支結石との鑑別を要した気管支アスペルギローマの1例

背景.気管支アスペルギローマは肺アスペルギルス症に属するが,報告例は少ない.今回気管支腔内に石灰化病変を認めたため気管支結石を考えたが,病理所見から気管支アスペルギローマと診断した症例を経験した.症例.66歳女性.肺結核の治療歴があり,40歳時に胸部異常陰影を指摘され,その後他院で経過観察されていた.2007年の胸部CTで左S3に石灰化を伴う濃厚陰影と,縦隔・肺門リンパ節の石灰化を認めた.2014年12月,石灰化周囲の陰影が増大したため紹介された.呼吸器症状は認めなかった.診断目的に気管支鏡検査を施行したところ,左B3a入口部は黄褐色の腫瘤により閉塞していた.腫瘤の生検では,周囲に石灰化を伴っ...

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Published in気管支学 Vol. 39; no. 1; pp. 38 - 42
Main Authors 玉腰, 淳子, 犬飼, 朗博, 髙橋, 孝輔, 浅井, 暁, 奥野, 元保, 齋藤, 博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2017
日本呼吸器内視鏡学会
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Summary:背景.気管支アスペルギローマは肺アスペルギルス症に属するが,報告例は少ない.今回気管支腔内に石灰化病変を認めたため気管支結石を考えたが,病理所見から気管支アスペルギローマと診断した症例を経験した.症例.66歳女性.肺結核の治療歴があり,40歳時に胸部異常陰影を指摘され,その後他院で経過観察されていた.2007年の胸部CTで左S3に石灰化を伴う濃厚陰影と,縦隔・肺門リンパ節の石灰化を認めた.2014年12月,石灰化周囲の陰影が増大したため紹介された.呼吸器症状は認めなかった.診断目的に気管支鏡検査を施行したところ,左B3a入口部は黄褐色の腫瘤により閉塞していた.腫瘤の生検では,周囲に石灰化を伴ったアスペルギルスの菌塊を認めた.気管支鏡検査後の胸部CTでは石灰化病変は消失しており,周囲の陰影は縮小していた.結論.気管支内の石灰化病変の鑑別として気管支アスペルギローマが挙げられ,気管支鏡での内腔所見や組織検査が診断に有用である.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.39.1_38