総排泄腔外反症に対する一期的修復術と尿禁制獲得を目指した術後管理
【目的】我々は総排泄腔外反症に対し消化管再建,結腸瘻造設,膀胱形成,尿道形成,骨盤骨切り術を行わずに恥骨接合および腹壁形成を行う一期的修復術を施行している.われわれの行っている術式および術後管理の詳細を呈示し,自験例の術後経過を報告する.【方法】1990年より2019年までに経験した6例を対象とした.修復術は出生後48時間以内に行い,術後早期から抗コリン薬内服および清潔間欠カテーテル導尿(CIC)を導入した.術後の合併症や膀胱容量,尿禁制獲得の有無を検討した.【結果】男児4人,女児2人で,現在の年齢は3~26歳(平均11.3歳)であった.臍帯ヘルニアを4例,脊髄髄膜脂肪腫など脊髄病変を全例に認...
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Published in | 日本小児外科学会雑誌 Vol. 56; no. 7; pp. 1055 - 1060 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
20.12.2020
日本小児外科学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0288-609X 2187-4247 |
DOI | 10.11164/jjsps.56.7_1055 |
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Summary: | 【目的】我々は総排泄腔外反症に対し消化管再建,結腸瘻造設,膀胱形成,尿道形成,骨盤骨切り術を行わずに恥骨接合および腹壁形成を行う一期的修復術を施行している.われわれの行っている術式および術後管理の詳細を呈示し,自験例の術後経過を報告する.【方法】1990年より2019年までに経験した6例を対象とした.修復術は出生後48時間以内に行い,術後早期から抗コリン薬内服および清潔間欠カテーテル導尿(CIC)を導入した.術後の合併症や膀胱容量,尿禁制獲得の有無を検討した.【結果】男児4人,女児2人で,現在の年齢は3~26歳(平均11.3歳)であった.臍帯ヘルニアを4例,脊髄髄膜脂肪腫など脊髄病変を全例に認めた.全例で骨切り術で恥骨の接合は可能であったが,肝脱出を伴う巨大臍帯ヘルニアの1例で術後腹部コンパートメント症候群を生じた.術後早期に尿道カテーテルの事故抜去を起こした症例では尿道狭窄のため膀胱瘻造設を要した.術後遠隔期には2例で腸閉塞解除術,1例で人工肛門再造設術,膣形成術を行った.尿禁制獲得について,3例で7~10歳時に患者本人によるCICが確立し,10~15歳で膀胱容量は200 mlを越え,このうち2例で尿禁制獲得のための手術を要さずにCIC間のdry timeを得られた.【結論】当院における修復術後と術後管理により,骨切り術を伴う多段階閉鎖や膀胱拡大術など複数回の手術を行わず尿禁制を獲得できる可能性がある. |
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ISSN: | 0288-609X 2187-4247 |
DOI: | 10.11164/jjsps.56.7_1055 |