変形性膝関節症における椅子からの立ち上がり動作の運動学的分析

〔目的〕本研究は,体幹および下肢の運動連鎖の観点から変形性膝関節症(膝OA)の発症・進行に関与する機能障害を明らかにするために,膝OA患者における椅子からの立ち上がり動作(STS)の運動学的分析を行った。〔対象〕膝OAと診断された女性17名の膝OA群と膝関節痛を有さない女性16名の対照群とした。〔方法〕課題動作は座面高が下腿長の高さの椅子からのSTSとした。3次元動作解析システムKinema Tracer(キッセイコムテック社製)を用いて各体節および下肢関節の角度を求めた。〔結果〕身体重心(COM)前方移動期における各体節の角速度の平均値には有意差が認められなかったが,COM上方移動期における...

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Published in理学療法科学 Vol. 25; no. 5; pp. 755 - 760
Main Authors 阿南, 雅也, 新小田, 幸一, 徳田, 一貫, 木藤, 伸宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 理学療法科学学会 2010
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ISSN1341-1667
2434-2807
DOI10.1589/rika.25.755

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Summary:〔目的〕本研究は,体幹および下肢の運動連鎖の観点から変形性膝関節症(膝OA)の発症・進行に関与する機能障害を明らかにするために,膝OA患者における椅子からの立ち上がり動作(STS)の運動学的分析を行った。〔対象〕膝OAと診断された女性17名の膝OA群と膝関節痛を有さない女性16名の対照群とした。〔方法〕課題動作は座面高が下腿長の高さの椅子からのSTSとした。3次元動作解析システムKinema Tracer(キッセイコムテック社製)を用いて各体節および下肢関節の角度を求めた。〔結果〕身体重心(COM)前方移動期における各体節の角速度の平均値には有意差が認められなかったが,COM上方移動期における膝関節伸展,足関節底屈の角速度平均値は対照群に比し,膝OA群が有意に小さかった。〔結語〕膝OA群のSTSにおいて,臀部離床後に体幹前傾で得られた速度を下肢に伝えることができず,適切な膝関節の関節運動および肢節のアライメント保持が難しくなっていることが示唆された。
ISSN:1341-1667
2434-2807
DOI:10.1589/rika.25.755