超低出生体重児におけるsutureless enterostomyと従来法の比較

【目的】超低出生体重児の消化管穿孔では人工肛門造設術を選択することが多いが,合併症に難渋することが多い.腸管と腹壁の縫合を行わないsutureless enterostomy(以下S法)が報告されているが,その有用性は明らかでない.今回腹壁と縫合固定を行う従来法とS法について検討した.【方法】2015/1/1~2018/12/31の期間に埼玉県立小児医療センターで出生体重1 kg以下,日齢10以下で人工肛門造設術を施行した症例を抽出し,S法と従来法について背景因子,手術成績,合併症等を後方視的にまとめた.術後早期を術後30日以内,それ以降を晩期とした.【結果】S法は5例(4名),従来法は5例で...

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Published in日本小児外科学会雑誌 Vol. 57; no. 3; pp. 600 - 606
Main Authors 石丸, 哲也, 小俣, 佳菜子, 川嶋, 寛, 林, 健太郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本小児外科学会 20.04.2021
日本小児外科学会
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ISSN0288-609X
2187-4247
DOI10.11164/jjsps.57.3_600

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Summary:【目的】超低出生体重児の消化管穿孔では人工肛門造設術を選択することが多いが,合併症に難渋することが多い.腸管と腹壁の縫合を行わないsutureless enterostomy(以下S法)が報告されているが,その有用性は明らかでない.今回腹壁と縫合固定を行う従来法とS法について検討した.【方法】2015/1/1~2018/12/31の期間に埼玉県立小児医療センターで出生体重1 kg以下,日齢10以下で人工肛門造設術を施行した症例を抽出し,S法と従来法について背景因子,手術成績,合併症等を後方視的にまとめた.術後早期を術後30日以内,それ以降を晩期とした.【結果】S法は5例(4名),従来法は5例であった.在胎週数(以下,中央値[範囲])はS法で24週3日[23週3日~25週2日],従来法で24週1日[23週5日~25週6日],出生体重はS法で605 g[568~758 g],従来法で632 g[468~801 g],手術時日齢はS法5日[2~6日],従来法7日[4~8日],手術時間はS法91分[33~118分],従来法95分[56~100分],出血量はS法3.0 ml[0.0~6.7 ml],従来法22.0 ml[0.0~32.0 ml]であった.術後人工肛門関連合併症は,S法2例(術後早期1例,晩期2例),従来法4例(術後早期2例,晩期3例)で,そのうち緊急手術は,S法で術後晩期に2例,従来法で術後早期に1例,晩期に1例生じた.【結論】S法は出血量・術後早期合併症は改善する可能性があるが,術後晩期で再手術を要する合併症が増加する可能性があった.S法では人工肛門閉鎖の時期の検討が今後必要である.
ISSN:0288-609X
2187-4247
DOI:10.11164/jjsps.57.3_600