腐食性食道炎による瘢痕性食道狭窄に対する有茎空腸間置食道再建術の経験

アルカリ誤飲による腐食性食道炎後の瘢痕性食道狭窄に対し,食道切除および有茎空腸間置による食道再建術を施行した.症例は4 歳と1 歳6 か月の幼児で,いずれも保存的な食道拡張術が無効と判断し,それぞれ受傷後6 か月,11 か月で食道再建術を施行した.術後は2 例ともに頸部食道と間置空腸の吻合部狭窄のためバルーン拡張術を必要としたが,それぞれ術後3 か月,5 か月目に普通食の摂取が可能となり,以後,経過は良好である. 腐食性食道炎による瘢痕性食道狭窄に対する有茎空腸間置食道再建術は安全に実施可能で,かつ良好な蠕動とそれに伴う食物輸送能を維持した再建術式である.本術式の施行に際しては,術前の諸検査に...

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Published in日本小児外科学会雑誌 Vol. 49; no. 4; pp. 939 - 947
Main Authors 池田, 均, 鈴木, 信, 青木, 真理子, 五十嵐, 昭宏, 畑中, 政博, 石丸, 由紀, 黒岩, 実, 藤野, 順子, 田原, 和典, 鈴木, 則夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本小児外科学会 20.06.2013
日本小児外科学会
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ISSN0288-609X
2187-4247
DOI10.11164/jjsps.49.4_939

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Summary:アルカリ誤飲による腐食性食道炎後の瘢痕性食道狭窄に対し,食道切除および有茎空腸間置による食道再建術を施行した.症例は4 歳と1 歳6 か月の幼児で,いずれも保存的な食道拡張術が無効と判断し,それぞれ受傷後6 か月,11 か月で食道再建術を施行した.術後は2 例ともに頸部食道と間置空腸の吻合部狭窄のためバルーン拡張術を必要としたが,それぞれ術後3 か月,5 か月目に普通食の摂取が可能となり,以後,経過は良好である. 腐食性食道炎による瘢痕性食道狭窄に対する有茎空腸間置食道再建術は安全に実施可能で,かつ良好な蠕動とそれに伴う食物輸送能を維持した再建術式である.本術式の施行に際しては,術前の諸検査による最適な吻合部位の判断,間置空腸脚の血管茎の十分な確保,術後吻合部狭窄を認めた際の適切な処置などが特に重要と思われた.
ISSN:0288-609X
2187-4247
DOI:10.11164/jjsps.49.4_939