細胞種選択的なグルタミン酸受容体の活性化手法「配位ケモジェネティクス」の開発

「1. 細胞種選択的な受容体活性化の必要性」ヒトの脳には1,000億個もの神経細胞が存在する. 神経細胞は様々な種類に分類され, 複雑かつ厳密に連携して記憶や学習を担う神経回路を形成する. 脳内には, アストロサイト, ミクログリア, オリゴデンドロサイトなどのグリア細胞も存在し, 神経機能維持に不可欠な役割を果たす. このような複雑な脳組織における神経回路形成の解明を大幅に加速しているのが, オプトジェネティクスおよびケモジェネティクスなどの細胞操作技術である. ケモジェネティクスでは, 化合物投与のタイミングで細胞機能を制御する. その代表例として, Gタンパク質経路を活性化できるDREA...

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Published in生物物理 Vol. 63; no. 3; pp. 157 - 159
Main Authors 清中, 茂樹, 鈴木, 啓文
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本生物物理学会 2023
日本生物物理学会
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ISSN0582-4052
1347-4219
DOI10.2142/biophys.63.157

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Summary:「1. 細胞種選択的な受容体活性化の必要性」ヒトの脳には1,000億個もの神経細胞が存在する. 神経細胞は様々な種類に分類され, 複雑かつ厳密に連携して記憶や学習を担う神経回路を形成する. 脳内には, アストロサイト, ミクログリア, オリゴデンドロサイトなどのグリア細胞も存在し, 神経機能維持に不可欠な役割を果たす. このような複雑な脳組織における神経回路形成の解明を大幅に加速しているのが, オプトジェネティクスおよびケモジェネティクスなどの細胞操作技術である. ケモジェネティクスでは, 化合物投与のタイミングで細胞機能を制御する. その代表例として, Gタンパク質経路を活性化できるDREADD, イオン流入を制御できるPSAM/PSEMが挙げられる. 時間分解能の点ではオプトジェネティクスに劣るが, 高い非侵襲性の観点から, ケモジェネティクスは動物個体での細胞操作技術として有力視される.
ISSN:0582-4052
1347-4219
DOI:10.2142/biophys.63.157