待機的尿膜管摘除術の適応に関する検討
【目的】待機的尿膜管摘除術の適応を検討する.【方法】2005年7月~2016年12月までの11年6か月間に,感染性尿膜管遺残症またはその疑いで待機的尿膜管摘除術を施行した25例を対象に年齢,性別,症状,画像検査所見,手術所見,摘除標本の病理組織学的所見および最終診断について解析した.【結果】25例の年齢は日齢20~19歳(中央値,9歳)で,性別は男21例,女4例であった.手術時期は治療開始後3週間~3年5か月(中央値,3か月)で,うち2例は感染を繰り返し同1年4か月と3年5か月で手術を施行した.術後は1例に感染の再発を認めた.手術所見で感染性尿膜管遺残症と診断できた症例は10例(40%)で,尿...
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Published in | 日本小児外科学会雑誌 Vol. 54; no. 2; pp. 236 - 241 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
20.04.2018
日本小児外科学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0288-609X 2187-4247 |
DOI | 10.11164/jjsps.54.2_236 |
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Summary: | 【目的】待機的尿膜管摘除術の適応を検討する.【方法】2005年7月~2016年12月までの11年6か月間に,感染性尿膜管遺残症またはその疑いで待機的尿膜管摘除術を施行した25例を対象に年齢,性別,症状,画像検査所見,手術所見,摘除標本の病理組織学的所見および最終診断について解析した.【結果】25例の年齢は日齢20~19歳(中央値,9歳)で,性別は男21例,女4例であった.手術時期は治療開始後3週間~3年5か月(中央値,3か月)で,うち2例は感染を繰り返し同1年4か月と3年5か月で手術を施行した.術後は1例に感染の再発を認めた.手術所見で感染性尿膜管遺残症と診断できた症例は10例(40%)で,尿膜管洞が5例,尿膜管囊胞が3例,膀胱憩室が2例であった.10例中9例に摘除標本の病理組織学的検討により管腔構造または上皮の遺残を確認した.一方,手術所見で診断できなかった症例は15例(60%)で,13例で正中臍索,2例で瘢痕組織と正中臍索を切除した.病理組織学的検討では前者の6例,後者の1例に尿膜管遺残を認めた.残る8例は尿膜管遺残を確認できず臍炎と診断した.最終診断が感染性尿膜管遺残症の17例と臍炎の8例を比較すると,3歳未満では臍炎が有意に多かった(p=0.006).【結論】感染性尿膜管遺残症と診断される3歳以上の症例では,初期治療後に待機的尿膜管摘除術を施行することが妥当である.一方,3歳未満では尿膜管遺残を原因としない臍炎の可能性が高く,感染を繰り返さない限り保存的治療を選択すべきである. |
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ISSN: | 0288-609X 2187-4247 |
DOI: | 10.11164/jjsps.54.2_236 |