幼児期に診断された脾囊胞に対し腹腔鏡下天蓋切除術を行った1例

症例は1歳,女児.発熱と間代性痙攣とを主訴に当院小児科に搬送となった.痙攣頓挫の後,熱性痙攣の診断で入院し,熱源精査を行った.腹部超音波検査,CT,MRIで左腎近傍に7 cmの囊胞性病変を認め,脾囊胞の疑いで手術を行った.審査腹腔鏡で囊胞の発生部位を同定して術前の診断を確定し,腹腔鏡下に天蓋切除術を行った.囊胞壁は可能な限り切除し,脾臓は温存した.病理組織所見で脾囊胞と診断された.術後1年の現在,再発はない.脾囊胞に対する適切な治療方針の検討のため,本邦報告例を中心に考察を行った.年少児では有症状となり得る大きな囊胞が見つかることは稀であるが,5 cmを超える場合は治療を考慮すべきと考えられた...

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Published in日本小児外科学会雑誌 Vol. 57; no. 5; pp. 866 - 872
Main Authors 福永, 奈津, 根本, 哲生, 川野, 晋也, 杉山, 彰英, 八木, 勇磨, 吉澤, 穣治, 渡井, 有
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本小児外科学会 20.08.2021
日本小児外科学会
Subjects
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ISSN0288-609X
2187-4247
DOI10.11164/jjsps.57.5_866

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Summary:症例は1歳,女児.発熱と間代性痙攣とを主訴に当院小児科に搬送となった.痙攣頓挫の後,熱性痙攣の診断で入院し,熱源精査を行った.腹部超音波検査,CT,MRIで左腎近傍に7 cmの囊胞性病変を認め,脾囊胞の疑いで手術を行った.審査腹腔鏡で囊胞の発生部位を同定して術前の診断を確定し,腹腔鏡下に天蓋切除術を行った.囊胞壁は可能な限り切除し,脾臓は温存した.病理組織所見で脾囊胞と診断された.術後1年の現在,再発はない.脾囊胞に対する適切な治療方針の検討のため,本邦報告例を中心に考察を行った.年少児では有症状となり得る大きな囊胞が見つかることは稀であるが,5 cmを超える場合は治療を考慮すべきと考えられた.
ISSN:0288-609X
2187-4247
DOI:10.11164/jjsps.57.5_866