福島第一原発作業者に対する放射線知識と不安に関する質問調査

2011年に福島第一原子力発電所(原発)事故により,作業者は多くの放射線被ばくをしたため,放射線による影響が懸念された.近年においても,東電(東京電力ホールディングス株式会社)の調査で,福島原発作業者は約30%に放射線影響に対する不安が残存していると報告されている.放射線に対する不安を軽減するためには,放射線の教育を行い,知識が豊富になることが重要であると考えられる.そこで今回,福島原発作業員に対して,独自に準備した質問調査を用いて,放射線教育回数,放射線の知識及び放射線に対する不安に関して調査を行った.東電を通じ,東電職員並びに元請け企業に1,602部配布し,1,135部回収した(回収率70...

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Published inJOURNAL OF UOEH Vol. 42; no. 4; pp. 339 - 346
Main Authors 林, 卓哉, 真船, 浩介, 松田, 尚樹, 長谷川, 有史, 加藤, 尊秋, 神田, 玲子, 島田, 義也, 佐藤, 健一, 森, 晃爾, 立石, 清一郎, 香﨑, 正宙, 岡﨑, 龍史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 学校法人 産業医科大学 01.12.2020
産業医科大学
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Summary:2011年に福島第一原子力発電所(原発)事故により,作業者は多くの放射線被ばくをしたため,放射線による影響が懸念された.近年においても,東電(東京電力ホールディングス株式会社)の調査で,福島原発作業者は約30%に放射線影響に対する不安が残存していると報告されている.放射線に対する不安を軽減するためには,放射線の教育を行い,知識が豊富になることが重要であると考えられる.そこで今回,福島原発作業員に対して,独自に準備した質問調査を用いて,放射線教育回数,放射線の知識及び放射線に対する不安に関して調査を行った.東電を通じ,東電職員並びに元請け企業に1,602部配布し,1,135部回収した(回収率70.8%).放射線教育回数が増加すると,放射線の知識が増え,放射線に対する不安は減少することが間接的にみられた.また年齢が高いと,様々な影響に対する不安が少なくなる傾向にあった.今回の調査結果では,放射線の知識を高めると,不安を軽減させる可能性があると考えられた.
ISSN:0387-821X
2187-2864
DOI:10.7888/juoeh.42.339