ナノ化ハイドロキシアパタイトによる軟化根管象牙質の再硬化 -口腔唾液の接触が根管象牙質の再硬化におよぼす影響

本研究の目的は完全除去が原則である軟化象牙質を再硬化させ歯質を保存させることである.牛歯歯根を急速脱灰液(K-CX)で根管内より軟化させ,人工軟化根管象牙質を作製し,ナノ化ハイドロキシアパタイト(ナノ化HA)を用いて根管内に応用したところ,人工軟化根管象牙質は未脱灰の象牙質の硬さまで再硬化したことを報告した.しかし,試料として作製した人工軟化根管象牙質は細菌による感染はない.臨床の場でよくみられる感染根管には多数の細菌がみられるが,その細菌がナノ化HAによる軟化根管象牙質の再硬化にどのように影響を及ぼすか解かっていない.よって,唾液を接触させた人工軟化根管象牙質を作製し,同様にナノ化HAを応用...

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Bibliographic Details
Published inJournal of the Japanese Association of Regenerative Dentistry Vol. 11; no. 1; pp. 19 - 26
Main Authors 菊地, 信之, 崎山, 宗紀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本再生歯科医学会 2013
Japanese Association of Regenerative Dentistry
Subjects
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ISSN1348-9615
1880-0815
DOI10.11223/jard.11.19

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Summary:本研究の目的は完全除去が原則である軟化象牙質を再硬化させ歯質を保存させることである.牛歯歯根を急速脱灰液(K-CX)で根管内より軟化させ,人工軟化根管象牙質を作製し,ナノ化ハイドロキシアパタイト(ナノ化HA)を用いて根管内に応用したところ,人工軟化根管象牙質は未脱灰の象牙質の硬さまで再硬化したことを報告した.しかし,試料として作製した人工軟化根管象牙質は細菌による感染はない.臨床の場でよくみられる感染根管には多数の細菌がみられるが,その細菌がナノ化HAによる軟化根管象牙質の再硬化にどのように影響を及ぼすか解かっていない.よって,唾液を接触させた人工軟化根管象牙質を作製し,同様にナノ化HAを応用することにした.その結果,唾液を接触させた人工軟化根管象牙質においても未脱灰の象牙質の硬さまで再硬化が認められた.このことは,細菌の有無に関わらず本来の象牙質の強度を得ることができたことは,今後補綴処置で除去すべき軟化象牙質を保存できる可能性を示唆している.
ISSN:1348-9615
1880-0815
DOI:10.11223/jard.11.19