某市消防局の消防指令要員の職業性ストレス, 燃えつきおよび抑うつについて
「I はじめに」消防組織は消火活動や人命救助の業務などに従事するため社会的責任が重く, さらに自らの命の危険を伴うなど身体的負担が大きく, 高い緊張感を強いて精神的負担も大きい職能集団である. これまでに, 暴力殺傷事件, 大事故, 自然災害, テロ事件などでの悲惨な状況がもたらす惨事ストレスまたは外傷ストレスに曝露する機会が多い消防官は心的外傷後ストレス障害(PTSD)に陥りやすいことが知られている. 最近では消防官のメンタルヘルス不調に対して日常業務によるストレス(職業性ストレスまたは仕事のストレス)の関与についても示唆され, 消防官の抑うつ感を悪化させるストレス要因として, 仕事の負担(...
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Published in | 民族衛生 Vol. 80; no. 4; pp. 184 - 198 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本民族衛生学会
2014
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0368-9395 1882-868X |
DOI | 10.3861/jshhe.80.184 |
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Summary: | 「I はじめに」消防組織は消火活動や人命救助の業務などに従事するため社会的責任が重く, さらに自らの命の危険を伴うなど身体的負担が大きく, 高い緊張感を強いて精神的負担も大きい職能集団である. これまでに, 暴力殺傷事件, 大事故, 自然災害, テロ事件などでの悲惨な状況がもたらす惨事ストレスまたは外傷ストレスに曝露する機会が多い消防官は心的外傷後ストレス障害(PTSD)に陥りやすいことが知られている. 最近では消防官のメンタルヘルス不調に対して日常業務によるストレス(職業性ストレスまたは仕事のストレス)の関与についても示唆され, 消防官の抑うつ感を悪化させるストレス要因として, 仕事の負担(質), 仕事負担の変動の低さ, グループ内葛藤の高さ, グループ間葛藤の高さ, 役割葛藤の高さ, そして役割曖昧の高さなどが報告されている. 消防隊員や救助隊員に比べ出場件数が多い救急隊員は日常業務の負担が大きいことが知られており, これまでにも東京消防庁や他地域においてその勤務状況やストレスについて先行調査研究がなされている. |
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ISSN: | 0368-9395 1882-868X |
DOI: | 10.3861/jshhe.80.184 |