鍼治療継続中に関節拘縮が明確になった肩関節周囲炎症例の特徴

鍼治療開始時(初診時)に明確な拘縮のない肩関節周囲炎 41 例を、鍼治療の経過中、明らかな拘縮に移行した 13 例(移行群)と拘縮に移行しなかった28例(非移行群)に分け、両者の臨床像を比較した。  その結果、①平均年齢は非移行群 52.1±9.6 歳に対し、移行群が 58.5±6.8 歳で有意に高かった。②初診時に明らかに拘縮のない症例に比べ、拘縮の有無が明確には判別できない症例に移行群が有意に多かった(19%vs. 57%)。③病変部位が限局した症例に比べ、病変部位が拡大あるいは判別が困難な症例に移行群が有意に多かった(17%vs. 50%)であり有意に多かった。④夜間痛のない症例に比べ、...

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Published in日本温泉気候物理医学会雑誌 Vol. 75; no. 3; pp. 176 - 185
Main Authors 野口, 栄太郎, 古賀, 義久, 水出, 靖, 安野, 富美子, 坂井, 友実, 粕谷, 大智
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本温泉気候物理医学会 2012
日本温泉気候物理医学会
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ISSN0029-0343
1884-3697
DOI10.11390/onki.75.176

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Summary:鍼治療開始時(初診時)に明確な拘縮のない肩関節周囲炎 41 例を、鍼治療の経過中、明らかな拘縮に移行した 13 例(移行群)と拘縮に移行しなかった28例(非移行群)に分け、両者の臨床像を比較した。  その結果、①平均年齢は非移行群 52.1±9.6 歳に対し、移行群が 58.5±6.8 歳で有意に高かった。②初診時に明らかに拘縮のない症例に比べ、拘縮の有無が明確には判別できない症例に移行群が有意に多かった(19%vs. 57%)。③病変部位が限局した症例に比べ、病変部位が拡大あるいは判別が困難な症例に移行群が有意に多かった(17%vs. 50%)であり有意に多かった。④夜間痛のない症例に比べ、夜間痛を有する症例に移行群が有意に多かった(15%vs. 64%)。⑤非移行群に比べ、移行群は鍼治療による疼痛や可動域制限の改善が得られにくかった。  上記のような傾向がみられた場合には、関節拘縮を生じて frozen phase へ移行する可能性のあることを考慮する必要があると考える。
ISSN:0029-0343
1884-3697
DOI:10.11390/onki.75.176