クロマチン運動がつくるゲノム立体構造
「1. クロマチンの新しい描像」 転写, 複製, 修復などDNAの機能はどのように制御されているのだろうか? これは細胞を理解するための基本的な問いであるが, 真核細胞ではDNAは様々なタンパク質を結合したクロマチンとして存在しているため, クロマチンの性質を理解することがDNA機能の理解の出発点となるはずである. そのためクロマチンには強い関心が集まり, この10数年間に, ハイスループット生化学測定や超解像顕微鏡による観察など, クロマチンを解析するための様々な技術革新が行われた. こうした進歩に伴い, クロマチンに関する基本的な考え方が変化している. とりわけ重要なのは, クロマチンは規...
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Published in | 生物物理 Vol. 64; no. 2; pp. 78 - 84 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本生物物理学会
2024
日本生物物理学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0582-4052 1347-4219 |
DOI | 10.2142/biophys.64.78 |
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Summary: | 「1. クロマチンの新しい描像」 転写, 複製, 修復などDNAの機能はどのように制御されているのだろうか? これは細胞を理解するための基本的な問いであるが, 真核細胞ではDNAは様々なタンパク質を結合したクロマチンとして存在しているため, クロマチンの性質を理解することがDNA機能の理解の出発点となるはずである. そのためクロマチンには強い関心が集まり, この10数年間に, ハイスループット生化学測定や超解像顕微鏡による観察など, クロマチンを解析するための様々な技術革新が行われた. こうした進歩に伴い, クロマチンに関する基本的な考え方が変化している. とりわけ重要なのは, クロマチンは規則正しい構造に固定されているという古い描像からの転換が生じたことである. 真核細胞内ではDNAはヒストン8量体に巻き付き, 10nm程度の大きさのヌクレオソーム粒子を構成しており, クロマチンは約200塩基(200base)に一つの割合でヌクレオソームが数珠つなぎになった鎖である. |
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ISSN: | 0582-4052 1347-4219 |
DOI: | 10.2142/biophys.64.78 |