大阪府の食鳥処理場におけるカンピロバクターの汚染状況

われわれは,大阪府の大規模食鳥処理場におけるカンピロバクターの汚染状況調査を4回にわたり実施した.処理作業開始前の施設内ではふき取り検査によりカンピロバクターはほぼ検出されなかったが,処理作業中は施設内のほとんどで検出された.また,チラー水およびまな板についてカンピロバクターの菌数を測定したところ,チラー水の菌数は0~2,300 CFU/ml, まな板は90~>12,000 CFU/100 cm2であり,腸内容物に汚染された食鳥と体が接触し,器具等への交差汚染がかなり起こることがわかった.また,食鳥と体および最終製品の菌数についてはそれぞれ0~8,000 CFU/gおよび0~3,600...

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Published in日本食品微生物学会雑誌 Vol. 29; no. 2; pp. 119 - 123
Main Authors 神吉, 政史, 川津, 健太郎, 服部, 武裕, 梶川, 智洋, 安達, 修二, 北野, 芳宏, 太田, 優, 飯田, 芳人, 山出, 敏夫, 久米田, 裕子, 山本, 憲次
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本食品微生物学会 2012
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Summary:われわれは,大阪府の大規模食鳥処理場におけるカンピロバクターの汚染状況調査を4回にわたり実施した.処理作業開始前の施設内ではふき取り検査によりカンピロバクターはほぼ検出されなかったが,処理作業中は施設内のほとんどで検出された.また,チラー水およびまな板についてカンピロバクターの菌数を測定したところ,チラー水の菌数は0~2,300 CFU/ml, まな板は90~>12,000 CFU/100 cm2であり,腸内容物に汚染された食鳥と体が接触し,器具等への交差汚染がかなり起こることがわかった.また,食鳥と体および最終製品の菌数についてはそれぞれ0~8,000 CFU/gおよび0~3,600 CFU/gであった.カンピロバクターの菌数は採取日ごとに変動が大きく,鶏舎間での汚染菌量にかなり差があることが推察された.外はぎ方式ではと体への腸内容物汚染は避けられず,と体ふき取りは常にカンピロバクターに高濃度に汚染されていたため,対策としては,チラー水の適切な温度と塩素濃度の維持,外はぎ方式により漏出した腸管内容物の十分な洗浄・殺菌,定期的な器具の洗浄・殺菌,そして汚染鶏と非汚染鶏の区分処理が重要であると考えられた. また今回,バツラー培地とCCDA寒天生培地 (SEL)を用いてコロニー計測法を実施した結果,バツラー培地のほうがCCDA寒天生培地 (SEL) より回収菌数が高かった.
ISSN:1340-8267
1882-5982
DOI:10.5803/jsfm.29.119