食酢汚染菌Gluconacetobacter xylinus の増殖に及ぼす食酢成分の影響

厚膜を形成するGluconacetobacter xylinusが生育しにくい食酢設計のために,米酢について検討した.酵母エキスとポリペプトンを含む米酢モデル培地を用い,米酢中の主要成分であるエタノール (EtOH),酢酸,グルコース (GC) およびグルコン酸 (GA) の濃度を変えて本菌の厚膜の形成を追跡し,次にその形成が遅れた組成を示す米酢を実際に試作した.その結果,酢酸を4.4%含む場合は,残留EtOHを0%,GCを10%とし,活性炭処理を組み込むことで,市販米酢(4.4%酢酸含有)の約2倍まで厚膜形成できない期間を延長できた.一方,酢酸より抗菌性が劣るとされるGAであっても,濃度が5...

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Published in日本食品微生物学会雑誌 Vol. 31; no. 2; pp. 113 - 119
Main Authors 多山, 賢二, 谷本, 昌太, 岡本, 洋子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本食品微生物学会 2014
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Summary:厚膜を形成するGluconacetobacter xylinusが生育しにくい食酢設計のために,米酢について検討した.酵母エキスとポリペプトンを含む米酢モデル培地を用い,米酢中の主要成分であるエタノール (EtOH),酢酸,グルコース (GC) およびグルコン酸 (GA) の濃度を変えて本菌の厚膜の形成を追跡し,次にその形成が遅れた組成を示す米酢を実際に試作した.その結果,酢酸を4.4%含む場合は,残留EtOHを0%,GCを10%とし,活性炭処理を組み込むことで,市販米酢(4.4%酢酸含有)の約2倍まで厚膜形成できない期間を延長できた.一方,酢酸より抗菌性が劣るとされるGAであっても,濃度が5~6%の領域であれば,EtOHを0%,GCを10%とし,活性炭処理を行うことで,酸度4.5%の米酢の場合,最も厚膜形成が遅い市販米酢並みに厚膜形成を抑制できた.
ISSN:1340-8267
1882-5982
DOI:10.5803/jsfm.31.113