BRAF遺伝子の関連が示唆された小児腎細胞癌の1例

症例は9歳男児.背部痛を主訴に近医受診した際に左腎腫瘤を指摘され,当院紹介となった.腹部CTで左腎下部に石灰化を伴う長径20 mm大の乏血性腫瘤を認め,悪性腫瘍の可能性が否定できないことから,開腹での左下半腎切除術を行った.迅速病理検査で腎細胞癌の診断となり,肉眼的に切除断端には腫瘍の露出は認めなかったものの,腫瘍から腎門部への十分なmarginが確保できていない可能性を考慮し,引き続き左腎摘出術を行った.病理検査にて乳頭状腎細胞癌の診断となり,また腫瘍の一部には後腎性腺線維腫を認め,遺伝子解析を行ったところBRAF V600Eの変異が同定された.追加治療行うことなく経過観察とし,術後半年の時...

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Published in日本小児外科学会雑誌 Vol. 59; no. 6; pp. 1014 - 1018
Main Authors 藤解, 諒, 佐伯, 勇, 福井, 嵩史, 栗原, 將, 高橋, 信也, 兒島, 正人, 檜山, 英三, 仙谷, 和弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本小児外科学会 20.10.2023
日本小児外科学会
Subjects
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ISSN0288-609X
2187-4247
DOI10.11164/jjsps.59.6_1014

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Summary:症例は9歳男児.背部痛を主訴に近医受診した際に左腎腫瘤を指摘され,当院紹介となった.腹部CTで左腎下部に石灰化を伴う長径20 mm大の乏血性腫瘤を認め,悪性腫瘍の可能性が否定できないことから,開腹での左下半腎切除術を行った.迅速病理検査で腎細胞癌の診断となり,肉眼的に切除断端には腫瘍の露出は認めなかったものの,腫瘍から腎門部への十分なmarginが確保できていない可能性を考慮し,引き続き左腎摘出術を行った.病理検査にて乳頭状腎細胞癌の診断となり,また腫瘍の一部には後腎性腺線維腫を認め,遺伝子解析を行ったところBRAF V600Eの変異が同定された.追加治療行うことなく経過観察とし,術後半年の時点で再発は認めていない.小児腎細胞癌の報告は非常にまれであり,臨床症状や病理組織型に特徴があるため,これらを踏まえ文献的考察を加えて報告する.
ISSN:0288-609X
2187-4247
DOI:10.11164/jjsps.59.6_1014