下肢運動機能の最適モニタリング

脊髄髄内腫瘍手術などの脊椎脊髄手術において, 術中の神経合併症を未然に防ぐために, 術中モニタリングが広く行われてきた。本稿では, 運動誘発電位の中でも経頭蓋電気刺激・複合筋誘発電位 (Br-CMAP) と経頭蓋電気刺激・脊髄誘発電位 (Br-SCEP) について記述した。Br-CMAPは導出が比較的容易で, 運動誘発電位としての特異性が高いことが利点とされ頻用されているが, false positiveが多い等の短所がある。Br-SCEPは, Br-CMAPと比較してもfalse positiveが少ないことが最大の利点であり, 麻痺の検出に優れている。われわれは, 脊髄の索路をモニターしよ...

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Published in臨床神経生理学 Vol. 44; no. 3; pp. 143 - 148
Main Authors 岩波, 明生, 中村, 雅也, 小川, 潤, 石井, 賢, 安田, 明正, 松本, 守雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本臨床神経生理学会 2016
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ISSN1345-7101
2188-031X
DOI10.11422/jscn.44.143

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Summary:脊髄髄内腫瘍手術などの脊椎脊髄手術において, 術中の神経合併症を未然に防ぐために, 術中モニタリングが広く行われてきた。本稿では, 運動誘発電位の中でも経頭蓋電気刺激・複合筋誘発電位 (Br-CMAP) と経頭蓋電気刺激・脊髄誘発電位 (Br-SCEP) について記述した。Br-CMAPは導出が比較的容易で, 運動誘発電位としての特異性が高いことが利点とされ頻用されているが, false positiveが多い等の短所がある。Br-SCEPは, Br-CMAPと比較してもfalse positiveが少ないことが最大の利点であり, 麻痺の検出に優れている。われわれは, 脊髄の索路をモニターしようとする場合, 感受性の高さと簡便性とにおいて下肢筋のBr-CMAPをまず最低限選択すべきであると考えている。Br-CMAPの特異性がやや低いことへの対策としてはmultimodality monitoringであり, 本稿ではその選択肢としてBr-SCEPの併用を提案し, 臨床例において電位の感受性の差があることを示した。
ISSN:1345-7101
2188-031X
DOI:10.11422/jscn.44.143