神経磁界計測装置を用いた末梢神経活動電流の可視化とその生理学的特徴
MNGシステムを用いて上腕部正中神経の活動電流に伴う磁界を5名10肢から計測し,その再構成電流を分析した。軸索内電流と容積電流を明瞭に視覚化することができ,両者の識別が可能であった。脱分極部から軸索内を先行するLeading current(LC)と,後行するTrailing current(TC)を生じ,軸索外に出て容積電流となり弧を描くように容積導体を回旋し脱分極部に帰還していた。軸索内電流のzero-cross潜時は脱分極部に帰還する容積電流や同部位皮膚上の陰性電位頂点とほぼ一致した。LCよりもTCの方が電流持続時間は1.4倍長く,強度のピークは0.7倍と弱かった。脱分極に伴う電流変化の...
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Published in | Japanese Journal of Clinical Neurophysiology Vol. 51; no. 6; pp. 682 - 690 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | English Japanese |
Published |
一般社団法人 日本臨床神経生理学会
01.12.2023
Japanese Society of Clinical Neurophysiology |
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ISSN | 1345-7101 2188-031X |
DOI | 10.11422/jscn.51.682 |
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Summary: | MNGシステムを用いて上腕部正中神経の活動電流に伴う磁界を5名10肢から計測し,その再構成電流を分析した。軸索内電流と容積電流を明瞭に視覚化することができ,両者の識別が可能であった。脱分極部から軸索内を先行するLeading current(LC)と,後行するTrailing current(TC)を生じ,軸索外に出て容積電流となり弧を描くように容積導体を回旋し脱分極部に帰還していた。軸索内電流のzero-cross潜時は脱分極部に帰還する容積電流や同部位皮膚上の陰性電位頂点とほぼ一致した。LCよりもTCの方が電流持続時間は1.4倍長く,強度のピークは0.7倍と弱かった。脱分極に伴う電流変化の中心領域(LC–TC間)は約7 cmで軸索内活動電流の全長は約19 cmと推定された。これらの結果はHodgkin and Huxley以来の神経生理学の知見とも矛盾しない。MNG計測は安定した,信頼性の高い計測法であり今後の病態生理を解明するための新たなツールとなることが期待される。 |
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ISSN: | 1345-7101 2188-031X |
DOI: | 10.11422/jscn.51.682 |