萎縮精巣として摘出した検体が卵管・卵巣・子宮内膜組織であった卵精巣性分化疾患の1例

症例は4か月健診で左精巣を触知せず,左停留精巣を疑われ当院小児外科に紹介となった.外性器は正常男性型であり,右精巣は陰囊内に触知されるが,左精巣は触知されなかった.超音波検査より左内鼠径輪直上で精巣様組織が腹腔内外を出入りしている左腹腔内精巣疑いにて,1歳5か月時に腹腔内精査および精巣固定術目的に腹腔鏡手術を施行した.左側の精巣様組織は鼠経管内に存在しており,萎縮精巣と考えられ摘出した.右精巣は捻転防止目的に精巣固定術を施行した.腹腔内に異常を認めなかった.病理検査では左側の精巣様組織から精巣組織は認められず,卵管・卵巣・子宮内膜組織が認められた.同一個体内に卵巣組織と精巣組織が存在することよ...

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Published in日本小児外科学会雑誌 Vol. 57; no. 7; pp. 1122 - 1126
Main Authors 浦尾, 正彦, 芦澤, かりん, 田中, 奈々, 池上, 満智彰, 松本, 俊治, 小倉, 加奈子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本小児外科学会 20.12.2021
日本小児外科学会
Subjects
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ISSN0288-609X
2187-4247
DOI10.11164/jjsps.57.7_1122

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Summary:症例は4か月健診で左精巣を触知せず,左停留精巣を疑われ当院小児外科に紹介となった.外性器は正常男性型であり,右精巣は陰囊内に触知されるが,左精巣は触知されなかった.超音波検査より左内鼠径輪直上で精巣様組織が腹腔内外を出入りしている左腹腔内精巣疑いにて,1歳5か月時に腹腔内精査および精巣固定術目的に腹腔鏡手術を施行した.左側の精巣様組織は鼠経管内に存在しており,萎縮精巣と考えられ摘出した.右精巣は捻転防止目的に精巣固定術を施行した.腹腔内に異常を認めなかった.病理検査では左側の精巣様組織から精巣組織は認められず,卵管・卵巣・子宮内膜組織が認められた.同一個体内に卵巣組織と精巣組織が存在することより卵精巣性分化疾患と診断した.本症例はambiguous genitaliaを伴っておらず,幼児期に診断に至った点で稀な症例と考えられた.
ISSN:0288-609X
2187-4247
DOI:10.11164/jjsps.57.7_1122