Kommerell憩室による気管狭窄と肉芽腫性ポリープをきたした1例

背景.Kommerell憩室の適切な治療により改善した,気管狭窄と肉芽腫性ポリープの1例を経験した.症例.76歳,男性.2015年にKommerell憩室に対して人工血管置換術とTEVARが行われていた.2017年に呼吸困難を認め,症状の改善が認められなかったために胸部CTおよび気管支鏡検査を施行したところ,気管腫瘍の疑いで当科へ紹介入院となった.われわれは最初にエンドリークによってKommerell憩室が増大したことによる気管狭窄の可能性を考慮した.そのため二本目のTEVARを先行させ,Kommerell憩室への血流の供給を遮断した.その後に気管支鏡による観察を行い,気管下部にはポリープ様の...

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Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 41; no. 1; pp. 35 - 39
Main Authors 片岡, 大輔, 南方, 孝夫, 氷室, 直哉, 門倉, 光隆, 鈴木, 隆, 丸田, 一人, 青木, 淳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 25.01.2019
日本呼吸器内視鏡学会
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.41.1_35

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Summary:背景.Kommerell憩室の適切な治療により改善した,気管狭窄と肉芽腫性ポリープの1例を経験した.症例.76歳,男性.2015年にKommerell憩室に対して人工血管置換術とTEVARが行われていた.2017年に呼吸困難を認め,症状の改善が認められなかったために胸部CTおよび気管支鏡検査を施行したところ,気管腫瘍の疑いで当科へ紹介入院となった.われわれは最初にエンドリークによってKommerell憩室が増大したことによる気管狭窄の可能性を考慮した.そのため二本目のTEVARを先行させ,Kommerell憩室への血流の供給を遮断した.その後に気管支鏡による観察を行い,気管下部にはポリープ様の病変を認めた.この病理組織検査では肉芽組織であった.術後3日目に抜管し,抜管後は肉芽腫性ポリープによる狭窄は改善していた.結果的に生検と気管チューブの圧迫のみで肉芽腫性ポリープは消失した.術後2か月のCTおよび気管支鏡検査では直接圧排による気管狭窄も改善していた.結論.Kommerell憩室は左鎖骨下動脈起始異常とその部位の囊状拡張という非常に稀な疾患であり,その増大による気道狭窄は重篤化することがあるため適切な治療方針の決定が重要である.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.41.1_35