FOLFIRI±α治療におけるUGT1A1遺伝子多型と初回投与量・RDI・副作用発現状況調査

Irinotecan(CPT-11)の用量規定因子は好中球(NEUT)減少や下痢であり,それらの副作用発現には活性代謝物SN-38の抱合に関与するUDP-グルクロン酸転移酵素(Uridine diphosphate-glucuronosyltransferase,UGT)1A1の遺伝子多型との関連性が報告されている。そこで今回,FOLFIRI±α治療を行なった患者のUGT1A1遺伝子多型と副作用発現状況について調査した。調査期間は2008年11月から2017年3月とし,UGT1A1の遺伝子検査を実施し,FOLFIRI±αを投与された25症例を対象とした。年齢,性別,身長,体重,Body sur...

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Published in日本農村医学会雑誌 Vol. 68; no. 2; pp. 141 - 147
Main Authors 久保, 淳一, 佐藤, 公人, 鈴木, 千波
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 2019
日本農村医学会
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ISSN0468-2513
1349-7421
DOI10.2185/jjrm.68.141

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Summary:Irinotecan(CPT-11)の用量規定因子は好中球(NEUT)減少や下痢であり,それらの副作用発現には活性代謝物SN-38の抱合に関与するUDP-グルクロン酸転移酵素(Uridine diphosphate-glucuronosyltransferase,UGT)1A1の遺伝子多型との関連性が報告されている。そこで今回,FOLFIRI±α治療を行なった患者のUGT1A1遺伝子多型と副作用発現状況について調査した。調査期間は2008年11月から2017年3月とし,UGT1A1の遺伝子検査を実施し,FOLFIRI±αを投与された25症例を対象とした。年齢,性別,身長,体重,Body surface area(BSA),UGT1A1の遺伝子型(*1/*6hetero(*6he型),*1/*28hetero(*28he型),ホモ型,複合hetero型(複合he型),wild型に分類),治療併用薬について調査した。また,CPT-11/5-FU bolusの初回投与量,初回Relative Dose Intensity(RDI)(%),1クール目の血液毒性を調査した。年齢は70.4±8.6歳,UGT1A1遺伝子型は*28he型5症例,*6he型6症例,wild型14症例であり複合he型,ホモ型は0例であった。初回投与量,初回RDIに有意差は認めなかった。白血球(WBC)減少はGrade(G)3が*6he型で2症例,G 4が*28he型で2症例であった。血小板(PLT)減少はG 4が*28he型で2症例,NEUT減少はG 3が*6he型で3症例,G 4が*28he型で2症例,*6he型で2症例であった。今回の調査において,*6he型,*28he型,wild型では初回投与量,初回RDIに有意差はみられなかった。しかし,*28he型,*6he型にG 3以上の血液毒性がみられた。このことからもhe型はwild型に比較し副作用発現頻度は高い傾向があると考えられた。今後はhe型の減量基準を明確にする必要があると考えられる。
ISSN:0468-2513
1349-7421
DOI:10.2185/jjrm.68.141