ICG蛍光法による血流評価が有効であったmesodiverticular bandによる絞扼性腸閉塞の1例
インドシアニングリーン(ICG)蛍光法による血流評価を小児絞扼性腸閉塞に行った報告は少ない.症例は生後2か月,男児.下痢,嘔吐を繰り返しウイルス性胃腸炎として入院した.翌日より下痢は改善したが,第3病日に絞扼性腸閉塞と診断され手術を施行した.メッケル憩室とmesodiverticular bandを認め,bandによりメッケル憩室の4 cm口側から回腸末端まで40 cmにわたり回腸が絞扼されていた.絞扼解除後,回盲弁を温存する可能性を探る目的でICG蛍光法を行ったところ,回盲弁より約2 cm口側まで血流を認めた.よって,回盲弁を温存して壊死腸管を切除し回腸を端々吻合した.術後は縫合不全や吻合部...
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Published in | 日本小児外科学会雑誌 Vol. 59; no. 7; pp. 1076 - 1081 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
20.12.2023
日本小児外科学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0288-609X 2187-4247 |
DOI | 10.11164/jjsps.59.7_1076 |
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Summary: | インドシアニングリーン(ICG)蛍光法による血流評価を小児絞扼性腸閉塞に行った報告は少ない.症例は生後2か月,男児.下痢,嘔吐を繰り返しウイルス性胃腸炎として入院した.翌日より下痢は改善したが,第3病日に絞扼性腸閉塞と診断され手術を施行した.メッケル憩室とmesodiverticular bandを認め,bandによりメッケル憩室の4 cm口側から回腸末端まで40 cmにわたり回腸が絞扼されていた.絞扼解除後,回盲弁を温存する可能性を探る目的でICG蛍光法を行ったところ,回盲弁より約2 cm口側まで血流を認めた.よって,回盲弁を温存して壊死腸管を切除し回腸を端々吻合した.術後は縫合不全や吻合部の通過障害は認めず,術後11日目に退院した.回盲部の血流を客観的に評価し,回盲弁の確実な温存にICG蛍光法は非常に有用であった.しかし評価法は確立されておらず今後の症例の蓄積が必要である. |
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ISSN: | 0288-609X 2187-4247 |
DOI: | 10.11164/jjsps.59.7_1076 |