高地居住者の体格・体力・生理機能—海抜の高いチベット族遊牧民と中間高度のチベット族農民の比較
「I 序論」中国には青蔵高原(チベット高原)を中心にして広大な高地が広がっている. その中に位置する青海省には約1800~4500メートルの高原に大小の集落が点在している. それらの多くは地理的に隔絶していて, 自給自足的な生活と特有な生活習慣を比較的最近まで維持してきた. 高地は低圧・低酸素を中心とする特有な環境のために, 主に適応生理学の面から多くの研究者の関心を集めてきた. 高地居住者の生体特性に関しては, 高地居住者は低地からの移住者に比較してパワーが低い(牛ほか, 1994), 心肺機能に優れている(比, 2003;弓, 2004;牛ほか, 1994), 赤血球数が多く, ヘモグロビ...
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Published in | 民族衛生 Vol. 76; no. 2; pp. 57 - 68 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本民族衛生学会
2010
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Subjects | |
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ISSN | 0368-9395 1882-868X |
DOI | 10.3861/jshhe.76.57 |
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Summary: | 「I 序論」中国には青蔵高原(チベット高原)を中心にして広大な高地が広がっている. その中に位置する青海省には約1800~4500メートルの高原に大小の集落が点在している. それらの多くは地理的に隔絶していて, 自給自足的な生活と特有な生活習慣を比較的最近まで維持してきた. 高地は低圧・低酸素を中心とする特有な環境のために, 主に適応生理学の面から多くの研究者の関心を集めてきた. 高地居住者の生体特性に関しては, 高地居住者は低地からの移住者に比較してパワーが低い(牛ほか, 1994), 心肺機能に優れている(比, 2003;弓, 2004;牛ほか, 1994), 赤血球数が多く, ヘモグロビン値が高い(Arnaud et al., 1981;李ほか, 2000;昊ほか, 1997;仲, 1999)などの特徴が認められている. 体格に関しては, 高地居住者と低地居住者の体格には大きな差は認められない(比, 2003;牛ほか, 1994), 高地居住者の方が大きい(張ほか, 2004), 高地居住者(学生)の方が小さい(沈, 2000)などと報告は一定していない. |
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ISSN: | 0368-9395 1882-868X |
DOI: | 10.3861/jshhe.76.57 |