複数のO抗原遺伝子型のEscherichia albertiiが病因物質として特定された食中毒事例

「緒言」厚生労働省の食中毒統計調査 (https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/04.html) によると, 細菌性食中毒は例年400~500件が発生しているが, 行政上で食中毒起因菌に指定されている菌種以外の菌が病因物質となることはまれである. しかしながら, 2011年に秋田県で発生した食中毒疑い事例では, 新規の食中毒起因菌の一つと考えられているEscherichia albertiiが分離された. この事例においては, E. albertiiが病因物質かどうかは不明であ...

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Published in日本食品微生物学会雑誌 Vol. 37; no. 4; pp. 183 - 187
Main Authors 樫尾, 拓子, 今野, 貴之, 髙橋, 志保, 鈴木, 純恵, 伊藤, 功一, 青木, 順子, 榊田, 希, 佐藤, 実佳, 小西, 典子, 尾畑, 浩魅, 熊谷, 優子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本食品微生物学会 30.12.2020
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Summary:「緒言」厚生労働省の食中毒統計調査 (https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/04.html) によると, 細菌性食中毒は例年400~500件が発生しているが, 行政上で食中毒起因菌に指定されている菌種以外の菌が病因物質となることはまれである. しかしながら, 2011年に秋田県で発生した食中毒疑い事例では, 新規の食中毒起因菌の一つと考えられているEscherichia albertiiが分離された. この事例においては, E. albertiiが病因物質かどうかは不明であったが, その後, 国内ではE. albertiiに よる健康被害が散見され, 公衆衛生上の新たな問題となっている. E. albertiiは, 病原大腸菌の一種である腸管病原性大腸菌 (enteropathogenic E. coli ; EPEC) や大部分の腸管出血性大腸菌における主要な病原因子であるインチミン (eae遺伝子産物) を保有する他, 細胞膨化致死毒素 (cytolethal distending toxin ; CDT) を保有するCDT産生菌の一つである.
ISSN:1340-8267
1882-5982
DOI:10.5803/jsfm.37.183