腹腔鏡下噴門形成術におけるanterior wrappingとposterior wrapping治療成績の検討

【目的】胃食道逆流症(GERD)に対する噴門形成術の術式はDor 法などのanterior wrapping(AW)とToupet 法,Nissen 法などのposterior wrapping(PW)に大別される.当科では2002 年より腹腔鏡下手術を導入し,2010 年まで主にAW を施行し,2011 年からPW を第一選択としている.今回その治療成績に関して検討した. 【方法】2002 年から2013 年までに経験した腹腔鏡下噴門形成術施行例全33 例を対象とし,後方視的に比較検討した.施行された術式はAW が18 例,PW が15 例であった.PW のうち9 例はNissen 法,6...

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Published in日本小児外科学会雑誌 Vol. 52; no. 1; pp. 78 - 82
Main Authors 古川, 泰三, 文野, 誠久, 東, 真弓, 田尻, 達郎, 坂井, 宏平, 青井, 重善, 木村, 修
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本小児外科学会 20.02.2016
日本小児外科学会
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ISSN0288-609X
2187-4247
DOI10.11164/jjsps.52.1_78

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Summary:【目的】胃食道逆流症(GERD)に対する噴門形成術の術式はDor 法などのanterior wrapping(AW)とToupet 法,Nissen 法などのposterior wrapping(PW)に大別される.当科では2002 年より腹腔鏡下手術を導入し,2010 年まで主にAW を施行し,2011 年からPW を第一選択としている.今回その治療成績に関して検討した. 【方法】2002 年から2013 年までに経験した腹腔鏡下噴門形成術施行例全33 例を対象とし,後方視的に比較検討した.施行された術式はAW が18 例,PW が15 例であった.PW のうち9 例はNissen 法,6 例はToupet 法であった. 【結果】基礎疾患は重症心身障害児例24 例,先天性食道裂孔ヘルニア6 例,食道閉鎖術後3 例であった.年齢中央値は4 歳(0~39 歳)であり,男児26 例,女児7 例であった.AW 群とPW 群では手術時間,出血量ではPW の方が有意に減少していた(手術時間:p<0.05,出血量:p<0.05).再発率に関してはAW 群で18 例中3 例(16.7%),PW 群で15 例中1 例(6.7%)であり有意にPW で減少していた(p<0.05).また,Nissen 法とToupet 法では有意差を認めなかった.PW の再発例は重症心身障害児例であり,Toupet 法で施行されていた. 【結論】当科における腹腔鏡下噴門形成術ではPW がAW よりも手術時間,術中出血量は少なく,再発率に差を認めなかった.PW の術式の選択は患児の基礎疾患を加味して判断することが重要であり,特に重症心身障害児ではNissen 法が有用であると考えられた.
ISSN:0288-609X
2187-4247
DOI:10.11164/jjsps.52.1_78