閉経後女性における母指CM関節形成術による手根管断面積の間接的変化

目的:母指CM関節症と手根管症候群は高頻度に合併する。本研究の目的は,横手根靭帯の付着する大菱形骨を全摘出する母指CM関節形成術群と母指CM関節形成術に同時手根管開放した群を比較し,手根管の断面積や形態がどのように変化するのかを明らかにすることである。方法:対象は母指CM関節症に対して手術治療を行った閉経後女性のうち,関節形成術を施行した20手と関節形成術に手根管開放術を同時に施行した7手である。関節形成術では全例大菱形骨をすべて切除して行った。手根管開放術は手掌に別皮切をおき横手根靭帯を切離した。これらの症例に対して術前と術後3か月のCTを用いて,手根管の断面積と形態を調べた。結果:両群間で...

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Published inJapanese Journal of Joint Diseases Vol. 42; no. 4; pp. 347 - 351
Main Authors 川崎, 恵吉, 稲垣, 克記, 久保田, 豊, 久保, 和俊
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本関節病学会 2023
Japanese Society for Joint Diseases
Subjects
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ISSN1883-2873
1884-9067
DOI10.11551/jsjd.42.347

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Summary:目的:母指CM関節症と手根管症候群は高頻度に合併する。本研究の目的は,横手根靭帯の付着する大菱形骨を全摘出する母指CM関節形成術群と母指CM関節形成術に同時手根管開放した群を比較し,手根管の断面積や形態がどのように変化するのかを明らかにすることである。方法:対象は母指CM関節症に対して手術治療を行った閉経後女性のうち,関節形成術を施行した20手と関節形成術に手根管開放術を同時に施行した7手である。関節形成術では全例大菱形骨をすべて切除して行った。手根管開放術は手掌に別皮切をおき横手根靭帯を切離した。これらの症例に対して術前と術後3か月のCTを用いて,手根管の断面積と形態を調べた。結果:両群間で術前の手根管断面積に有意差はなかった。手根管の断面積は関節形成術群で術後10.8%増加したのに対し,手根管開放術追加群では27.6%と有意に増加した。術後の手根管断面積の横径は関節形成術群で有意に低下し,手根管開放術追加群では有意差はなかった。縦径は両群とも有意に増加した。考察:大菱形骨を全摘出する母指CM関節形成術後では,横手根靭帯が緩むことで手根管の形態が縦長になり,手根管水平断面積は増加したと推測された。母指CM関節形成術のみより手根管開放術を追加で行ったほうが手根管断面積はより増大した。
ISSN:1883-2873
1884-9067
DOI:10.11551/jsjd.42.347