大腸菌のO血清群とO抗原とO抗原合成遺伝子

「1. はじめに」病原細菌の同定や種内での細分類を行う方法として, 菌体表層に発現する糖鎖やタンパク質などの構造的多様性を標的とした免疫学的な分類法, いわゆる "血清型別法" が古くから用いられている. 本総説で取り上げる大腸菌 (Escherichia coli) では, O抗原と呼ばれる菌体抗原とH抗原と呼ばれるべん毛抗原を標的とした血清型別が一般的に用いられている. 現在, O血清群 (O群, O serogroup) はO1からO188まで, H型 (H type) はH1からH56までが定められており, O群とH型の組み合わせによって表される血清型 (serot...

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Published in日本食品微生物学会雑誌 Vol. 34; no. 4; pp. 189 - 201
Main Author 井口, 純
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本食品微生物学会 2017
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Summary:「1. はじめに」病原細菌の同定や種内での細分類を行う方法として, 菌体表層に発現する糖鎖やタンパク質などの構造的多様性を標的とした免疫学的な分類法, いわゆる "血清型別法" が古くから用いられている. 本総説で取り上げる大腸菌 (Escherichia coli) では, O抗原と呼ばれる菌体抗原とH抗原と呼ばれるべん毛抗原を標的とした血清型別が一般的に用いられている. 現在, O血清群 (O群, O serogroup) はO1からO188まで, H型 (H type) はH1からH56までが定められており, O群とH型の組み合わせによって表される血清型 (serotype) は計算上1万通り近くとなり, 十分な細分類解像度があると言える. 分離株間の血清型が同じであれば, それらは短い期間内に単一細胞から分裂した派生株であるか, あるいはごく近縁な系統関係にある同族株であると予想できる.
ISSN:1340-8267
1882-5982
DOI:10.5803/jsfm.34.189