中皮腫に対する早期診断指標の探索的研究

「はじめに」 中皮腫は体腔内面を広く覆う漿膜に発生する腫瘍で, 胸膜, 腹膜, 心膜, および, 極めて稀に精巣鞘膜からも発生する. これまで, 中皮腫は比較的稀な疾患とされてきたが, その罹患者数および死亡者数は世界的に急激な増加を辿っている. この原因が20世紀に消費された大量のアスベストにあることは疑う余地のない事実である. わが国の中皮腫の年次動向に関して, 中皮腫独自の死因番号がコード化された1995年以降の動向を観察すると, 2006年までの12年間の中皮腫死亡数は全部位男女計での1995年の500例から2006年の1,050例に倍増している(1). さらに, Murayamaらは...

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Published in日本衛生学雑誌 Vol. 66; no. 3; pp. 553 - 557
Main Authors 長谷川, 誠紀, 辻村, 亨, 福岡, 和也, 田中, 文啓, 中野, 孝司, 玉置, 知子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本衛生学会 2011
日本衛生学会
Subjects
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ISSN0021-5082
1882-6482
DOI10.1265/jjh.66.553

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Summary:「はじめに」 中皮腫は体腔内面を広く覆う漿膜に発生する腫瘍で, 胸膜, 腹膜, 心膜, および, 極めて稀に精巣鞘膜からも発生する. これまで, 中皮腫は比較的稀な疾患とされてきたが, その罹患者数および死亡者数は世界的に急激な増加を辿っている. この原因が20世紀に消費された大量のアスベストにあることは疑う余地のない事実である. わが国の中皮腫の年次動向に関して, 中皮腫独自の死因番号がコード化された1995年以降の動向を観察すると, 2006年までの12年間の中皮腫死亡数は全部位男女計での1995年の500例から2006年の1,050例に倍増している(1). さらに, Murayamaらは, 2000年から2039年までの男性の悪性胸膜中皮腫による死亡数は101,400人におよび, 2030年から2039年の10年間の死亡数は43,150人(1990年から1999年までの21倍)となり, この時期にピークに達することを予想している(2).
ISSN:0021-5082
1882-6482
DOI:10.1265/jjh.66.553