右B2・B3欠損とB6転位を伴う気管支分岐異常に肺癌を合併した1切除例
背景.気管支分岐異常は稀な病態である.今回われわれは,B2・B3を欠損し,残存するB1領域に肺癌を生じた症例を経験した.症例.症例は76歳女性,胸部異常陰影で当院を受診し,胸部CTで右上葉に2.4×2.3 cmの結節を認めた.さらにB2・B3と肺動静脈の欠損を指摘された.経気管支肺生検で肺腺癌の診断となり,右上葉切除を施行することとなった.術前の3D-CTで,B6の中間幹への転位とV1尾側に上葉からと考えられる細い肺静脈を認めていた.術中観察すると,同血管は頭側へ偏位したS6からの肺静脈であった.結論.手術内容を検討する際,3D-CTは有用であるが,本症例のように肺葉の位置異常を生じている可能...
Saved in:
Published in | The Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 41; no. 1; pp. 85 - 89 |
---|---|
Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
25.01.2019
日本呼吸器内視鏡学会 The Japan Society for Respiratory Endoscopy |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0287-2137 2186-0149 |
DOI | 10.18907/jjsre.41.1_85 |
Cover
Summary: | 背景.気管支分岐異常は稀な病態である.今回われわれは,B2・B3を欠損し,残存するB1領域に肺癌を生じた症例を経験した.症例.症例は76歳女性,胸部異常陰影で当院を受診し,胸部CTで右上葉に2.4×2.3 cmの結節を認めた.さらにB2・B3と肺動静脈の欠損を指摘された.経気管支肺生検で肺腺癌の診断となり,右上葉切除を施行することとなった.術前の3D-CTで,B6の中間幹への転位とV1尾側に上葉からと考えられる細い肺静脈を認めていた.術中観察すると,同血管は頭側へ偏位したS6からの肺静脈であった.結論.手術内容を検討する際,3D-CTは有用であるが,本症例のように肺葉の位置異常を生じている可能性がある場合などは血管の流入・流出部の特定が困難なことがある.そのため,術中の注意深い観察がやはり手術を安全に行う上で重要であると,改めて考えさせられた. |
---|---|
ISSN: | 0287-2137 2186-0149 |
DOI: | 10.18907/jjsre.41.1_85 |