タッピング運動時における下顎運動量と体幹運動量との関連

【目的】下顎がタッピング運動をする際,頭部と体幹はどのように動いているのか,また下顎の運動量と頭部,体幹の運動量には一定の関係があるのかを明らかにする. 【方法】下顎運動と頭部運動の測定には,6自由度顎運動測定装置TRIMET II(東京歯材社製)を,体幹動揺の測定には,赤外線反射光方式の三次元モーションキャプチャーシステムProReflex(Qualisys 社製)を使用した.被験者は顎口腔機能に異常を認めないボランティア男性6名(24~29歳,平均年齢:25.8±1.7歳)とした.被験運動は頻度が3 Hzで,被験者が無理なく行える可能な限り大きい開口で行う20秒間のタッピング運動とした.計...

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Published in日本顎口腔機能学会雑誌 Vol. 18; no. 2; pp. 115 - 124
Main Authors 金城, 篤史, 河野, 正司, 昆, はるか, 佐藤, 直子, 甲斐, 朝子, 小林, 博, 櫻井, 直樹, 野村, 修一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本顎口腔機能学会 2012
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Summary:【目的】下顎がタッピング運動をする際,頭部と体幹はどのように動いているのか,また下顎の運動量と頭部,体幹の運動量には一定の関係があるのかを明らかにする. 【方法】下顎運動と頭部運動の測定には,6自由度顎運動測定装置TRIMET II(東京歯材社製)を,体幹動揺の測定には,赤外線反射光方式の三次元モーションキャプチャーシステムProReflex(Qualisys 社製)を使用した.被験者は顎口腔機能に異常を認めないボランティア男性6名(24~29歳,平均年齢:25.8±1.7歳)とした.被験運動は頻度が3 Hzで,被験者が無理なく行える可能な限り大きい開口で行う20秒間のタッピング運動とした.計測点は下顎切歯点,上顎切歯点,胸骨点とした.下顎切歯点の垂直的移動量を開口量とし,上顎切歯点の垂直的移動距離を頭部運動量とした.また,胸骨点の前後的移動量を体幹動揺量とした. 【結果】立位でタッピング運動を行うと,頭部は開口時に後屈し,閉口時に前屈していた.体幹は開口時に前方,閉口時に後方に動いていた.頭部運動量は0.6~10.7 mmで開口量の5.2~40.5%の大きさであった.体幹動揺量は0.2~1.8 mmで開口量の1.3~6.8%の大きさであった.開口量と頭部運動量,および体幹動揺量のそれぞれの2変数間に相関が認められた. 【結論】開口量が増すと頭部運動量と体幹動揺量が増すことが明らかになった.下顎が運動し,随伴して頭部が運動すると,頸部より上での重心の移動が起こり,それに対して体幹が運動することによって姿勢を保持していると考えられ,体幹動揺および頭部運動は顎運動を円滑に進める働きを担っている可能性が示唆された.
ISSN:1340-9085
1883-986X
DOI:10.7144/sgf.18.115